表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神大戦  作者: 綾野祐介
18/94

序章 第18話 シュブ=ニグラス

「お前、その姿は何だ?」


「何だ、とは失礼な。そなたこそ何者だ。」


 ナイアルラトホテップがアザトースを万物の王として知らしめるための旅が続いていたのだが、ある時同類と言っていいのか判断が付かない者を見つけた。それは何かよく判らないものだった。


 黒い樹木のようなもの。枝なのか触手なのかは区別が付かない。黒山羊と呼ぶには遠すぎるが他に近しいものもない。


「そなたの姿も相当なものだぞ。」


 確かにナイアルラトホテップの姿も定形ではない。そして今は人型を取っていた。その形が一番エネルギ―の消費が少ないのだ。本来の混沌とした形は、無尽蔵にエネルギーを消費してしまう。小さい人型に収めている方が効率がよかった。その人型の姿を相当なものだ、と表現されたのだ。


「この形が便利なのでな。」


「まあ、よいわ。それで何用じゃ。」


「我が主の元に集うのだ。そして我が主を万物の王と崇めるのだ。」


「なぜ我がそのようなことに関わらなければならないのじゃ。」


「それが我が主より我に与えられた使命だからだ。」


「使命のぉ。そなたはそれでよいのか?それがそなたの望んだことなのか?」


「そうだ。それは我が自ら望んだことだ。」


「ならば何も言うまい。ただ我に強制するでない。我は誰にも指図されない。誰の言うことも聞く気がない。放っておいてほしい。」


 多分、我々のような存在は皆そうなのだろう、とナイアルラトホテップは思う。唯我独尊、自らがただ一人の存在であった時間が長いと、他の存在や他の存在からの干渉は煩わしいことでしかない。ナイアルラトホテップですらアザトースと出会って居なかったらそうだっただろう。


 しかし、ナイアルラトホテップはアザトースと出会ってしまった。それがこの者との差だ。


「そうもいかないのだ。お前、名は何と言う?」


「名乗る必要があるのか?そなたの名も知らんぞ。」


「そういえば名乗っていなかったな、我の名はナイアルラトホテップ、我が主アザトースの忠実なる僕だ。」


「アザトースとな。その名はなぜか気にかかる名ではある。そなたはナイアルラトホテップと申すのか。我の名はシュブ=ニグラスと言う。らしい。」


「らしい?」


「他に誰も居なかったので、誰も我をそう呼ばなかったのでな。ただ自らがシュブ=ニグラスと知ってはおったが。」


「我らは皆そうなんだろう。我も同じだったからな。だが我が主と出会って、それは変わった。我の使命は我が主にお仕えすることだと悟ったのだ。」


「そう言うものかの。いずれにしても我のことは放っておいてくれんか。そなたたちに関わる気はないのでな。」


「そうもいかない、と言っただろう。一緒に来てもらうぞ。」


 ナイアルラトホテップは強制的にシュブ=ニグラスをヨグ=ソトースの元に運ぶのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ