序章 第17話 ヨグ=ソトース⑧
「ヨグ=ソトースよ、そなたは我の名代としてすべての宇宙、次元、時間を我が版図とせよ。」
それがアザトースがヨグ=ソトースに与えた使命だった。「アザトースの名代」ということが重要だった。アザトースは玉座を動かない。その代理者としてヨグ=ソトースが全てを支配するのだ。ナイアルラトホテップとは少し違う下知だった。
「御意。」
理想の下知だった。アザトースの思いに応えながら自らの力を存分に発揮できる。全てを支配するのだ。自らやナイアルラトホテップのような者を探し出しアザトースに忠誠を誓わせる。アザトースの役に立たせる。強制的に、であっても。
「ナイアルラトホテップよ。」
「なんだ。」
「我が王からの下知である。全てを我が王の版図とすべく我はこれから動くことになる。」
「そうだな。」
「それでだ。お前にはお前や我のような存在を見つけて来てほしいのだ。そして、我がその者を支配する。それが、全てを版図とするのに一番の近道であろうと思うのだが、どうであろうか。」
「我を使おうというのか。まあよい。我が主の意向に沿うことなればお前の手伝いをするのもよいだろう。」
「多分お主の方が、そういったことに長けているであろうからな。」
「わかった、わかった、任せておけ。但し我は探し出すだけで後は任せるぞ、この間のクトゥグアのようなことはもうウンザリだ。」
「それは任せておくがいい。我は我が王には及ばずとも近しい力を有しておると、そなたも知っておるであろう。」
「そうだな。では早速探してくることにしよう。すでに何人かは見つけてあるが、もっと見つける必要があろうな。」
ナイアルラトホテップはそう言うとヨグ=ソトースの元を辞した。




