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序章 第14話 ヨグ=ソトース⑤
「先日、お主を追いかけていた時のことだ。自らを分散させて他の者のところにも使者として赴いていたのだが。」
ナイアルラトホテップは、ヨグ=ソトースの元に来ていたのが全部全体ではなかったのだ。一部であの能力だと。益々これは注意が必要だ。
「その中でクトゥグアというものが居たのだが、この者に手間を掛けさせられたのだ。」
「そうなのか。そのクトゥグアとやらは何者なのだ。」
「我やお主と同じ存在ではある。お主が次元や時間を渡る能力を持っているように彼の者は振動により温度を上げたり下げたりする能力の持ち主だった。」
ナイアルラトホテップの言い方は苦々しくて思い出したりしたくは無いようだった。
「温度とな。それがその者の能力だとして、何故お主が手間取ることがあろう。お主は我を逃がさず追い切ったではないか。その辺りの小物に手間取ってもらっては困るな。」
「何故お主が困るのだ。」
「お主が苦戦すると我まで苦戦しそうに見えるではないか。」
ヨグ=ソトースはとても世俗的なところがある。ナイアルラトホテップはそれが面白く感じていた。




