序章 第13話 ヨグ=ソトース④
「では、お前の主の所へ案内してもらおうか。」
ヨグ=ソトースが言うとナイアルラトホテップは返事をしない。存在感が薄れている。見えてはいるが、そこには居ない、そんな感じだ。
「なんなのだ。まあ、よい。好きにするがいいわ。我は追われ疲れた。少し休むとする。」
そう言うとヨグ=ソトースも、もうそこには居なかった。ナイアルラトホテップの意識が此処にないことを確認したうえで別の次元に逃れたのだ。いずれまた直ぐに見つけられてしまうのだろうが、少しは寛げる時間があるだろう。
それにしてもナイアルラトホテップの意識、というか本体は何処にいるのだろうか。我を放置してまで気を回さなければならない事態に陥っている、というのだろうか。それならそれで興味があるのだが、それよりも休みたかった。
そして数千年が過ぎたころ、またナイアルラトホテップが現れた。
「なんだ、もう用はないのかと思っておったが。」
「申し訳ありません。少し他所で手間取ってしまいまして。」
「お前が手間取った、というところにとても興味があるな。何があった?」
「お話しした方が?」
「そうだな。暇つぶしにはちょうど良い。」
ナイアルラトホテップは手間取っていた事柄について、徐に話し始めた。




