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序章 第12話 ヨグ=ソトース③
「判った。もういい。お前から逃れることは容易ではない、ということは理解した。理解するのに時間をかけ過ぎたかも知れんが。ただ一つ聞かせてはくれまいか。」
「何なりと。我がお応えできる内容であれば。」
「お前は何故我を追って来れるのだ。次元や時間を幾ら超えてもお前は必ず追って来る。お前は我と同様の力を持っているというのか。」
「いいえ、そうではない。我が有する能力はただ一つ、コピーだ。」
「コピーだと?」
「そうだ。お前の能力をコピーしたのだ。だから我はお前と同じことができる。お前に会うまでは出来なかったがな。」
「そういうことか。」
ヨグ=ソトースは納得した。この者は次元や時間を超える能力を見ただけでコピーして自分の能力として発動していたのだ。この者に自らの能力を見せることは自殺行為だ、とヨグ=ソトースは感じた。
初見でコピーできるのであっても何かの攻撃的な能力であればコピーする前に倒せるかもしれない。いかにしてナイアルラトホテップを倒すのかが以後のヨグ=ソトースの最大の関心事項となった。




