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アーサー様とライアン様


 アーサー様は残念そうな顔をしたと思ったら、

「そろそろ、ライアンとの時間だな……。いや、断らなくても良い。俺は君のことを好ましく思っているから、選んでくれたら嬉しい」

 とおっしゃった。


 アーサー様、私のことは嫌いではないようだけど。

 かと言って、好きでもないような気がひしひしする。

 だけど、最初にお会いしたような強引な感じはもうしなかった。

 無理なさってらっしゃったのかな?

 本来のアーサー様は強引な方ではなさそうだ。


 ライアン様がいらして、

 「そろそろ……」

 といらっしゃった。


 ライアン様はご自身のお部屋に誘ってくださった。


 ほとんどお話したことのない殿方のお部屋に、ってすごく緊張する。


 テラスに誘ってくださったの、アーサー様って案外お気遣いの方かも。

 私がリアムのことが好きなのでなければ、アーサー様を選んでいたかもしれない、なんてちょっと思った。


 ……図々しいかな?


 ライアン様のお部屋はシンプルな男性のそれだったが、少しぬいぐるみが置いたりして、少し女性の影を感じるような気がする。


 部屋に入ってすぐ

「セレーナ、よろしく。兄でなく俺を選んでほしいな」

 なんておっしゃる。

 少しやっつけな感じだ。


 「第二王女様とのご婚約のお話をお伺いしたのですが、第二王女様ってどんな方なのですか?」

 特にお互い話題もなく、気まずくて、話題探しに聞いてみる。


 「ヴィオは、とても清楚で、俺にはもったいなくて可愛らしい方だよ」

 なんておっしゃる。

 ヴィオ様とよんでいらっしゃるのね、とても親しい様子だ。


 「そうなのですね。お噂にはお聞きしますが本当にお美しい方ときいています。親しくていらっしゃるのですか?」

 ライアン様はヴィオ様が好きでいらっしゃるような気がする。


 「気さくな方で、良くしてくれるんだ」

 ライアン様はヴィオレット様を思い出しているかのようにはにかんだ。


 「ライアン様、お話からお見受けしますと、私ではなく第二王女様の方がよろしいのではないですか?」

 とつい言ってしまった。


 「いや、兄の方が素晴らしい人間なんだ。だから、きっと第二王女のお相手は兄しか務まらないと思うんだ」

 ライアン様は寂しそうにそうおっしゃった。

 きっとライアン様も思うところがあるのかもしれない。

 彼のお役に立てたらよかったけど、リアムがすきなので、申し訳ない。

 ライアン様は第二王女様がお好きなようなので、うまくいけばいいのにと思った。


 たしかアイザック様は、第二王女様とご結婚なさったら公爵家として新たに領地をもらえるとおっしゃってなかったか。


 ライアン様は、第二王女様を好ましく思っていながらも、

そのバックグラウンドの重責に耐えられないのかもしれない。


 私ごときが会えるようなお方ではないが、少し第二王女様にも会ってみたい、と思ってしまった。


 前よりかはお二人のことを知れたような気がする。

 本質的なことは何も教えてくださらなかったが。


 そのあとは、伯爵様が待つ応接室にお伺いし、また一週間後に返事をききたいとおっしゃられた。


 来週までが期限になるのね。

 どうにかお断りできるように持って行けたらよいのだけど。


 「本日はありがとうございました」


 門をでてから寮の方に向かう。

 すごく疲れてしまったが、かなり良くしていただいたと思う。ありがたい。


 通りがかりに近くの公園にベンチを見つけ、一休みする。


 あぁ、疲労感に寮まで耐えきれそうにない。

 急激に眠気が襲ってきた。


 ダメだわ、こんなところで寝てはリアムにいただいたお洋服が汚れてしまう。


 どうにか立ち上がり、必死で寮までたどり着き、部屋着に着替えて、シャワーも浴びずにベットに倒れ込んだのだった。



※※※



 ……私は目を覚ます。もう夕方のようだ。


 「やっと起きたね」


 リアムが心配そうに見る。


 「私、どれだけ寝てた?」

 やっと、ということはかなり寝ていたみたい。


 「2日ほど。もう俺も授業から帰ってきたんだ。もう食事だから一緒に行こうか」


 「そんなに……」

 信じられない。そんなに疲れるようなことしてないと思うんだけど。


 2日ぶりのごはんを食べて、その空腹感に、2日ぶりだと実感する。


 ロージーが、

 「あ、よかったー! おきたのね。また何か頑張っちゃった?無理しないでね」

 と優しく声をかけてくれる。


 「ありがとうロージー。また寝ちゃったみたい」


 しかし、この体質、本当に不便。どうにかならないかしら?


 食事のあと、部屋でシャワーを浴びて出てきたら、リアムがちょうど、私の為に授業のノートを持ってきてくれた。


 私、ちゃんと着替えて出てきたらよかったのに、タオル一枚で……。


 「リアム、ごめんなさいー!」

 私はすぐさま謝り部屋着を掴み、浴室に戻って着替える。


 あぁ、リアムの汚れなき瞳に変なものを写してしまった。


 リアムは珍しく真っ赤な顔をして、

 「セレーナ、女の子なんだから気をつけようね。俺はいいけど。他の男の子には絶対みせてはいけないからね」

 とまた注意を受けてしまったのだった。


 ひとしきり怒られたあと、リアムが凄い優しい顔で、

 「ドライヤー持ってきて」

 なんて言ってくれるので、甘えてドライヤーをかけてもらう。


 かなり気をつけていたので久しぶりにかけてもらったけど、私、リアムにドライヤーかけてもらうの、すごく好きだなぁ。


 ドライヤーが終わって、リアムにまたおいしい紅茶を淹れてもらい、お茶しながら、双子との話をリアムに説明する。


 「リアム、私、第二王女様に会いたくなったわ」


 リアムがその時、変な顔をした。


 リアム、隣国出身だけど、リアムも第二王女様のことをご存知なのかしら?


 私はそんなことを思った。

ラッキースケベです!

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