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047 カウラの話

 今回はカウラの説明会です。

~サイド カウラ~


 私はカウラだ。私はこの国で生まれてこの国で育った。まあ,私の生い立ちの話は今は必要ないだろう。


 そもそも私は何者なのか,というところから話そうか。ストレートに言うと,私はスパイだ。そしてこの国の直属の騎士でもある。


 私は15歳の時に騎士にスカウトされたんだ。そしていままでずっと騎士としてこの国のため,この国の民のために動いている。


 私の仕事はこの国にあだなす物,人,組織を見つけ出し,それを自らの手でつぶすことだ。いままで私はいくつかの組織をつぶしてきた。まあ,どれも小規模・中規模の弱い組織だったがな。そして今私は国から密命を受けている。これはみんなには秘密だぞ。


 その密命とは『正体不明の龍を調査すること』だ。こんな密命は初めてだ。そもそもどうしてこんな命令が発令されたのか。それを説明するには少し時を戻さなくてはいけない。



 あの日,私はベルセルクにいたんだ。正確には働いていた。ギルド職員だな。その時は髪は緑に染めていたし髪型もかなり違った。つまり変装だな。私はギルド職員になってまで何をしていたか。それは天命教についての情報収集だ。


 そもそも私は裏ルートでここの地下で何かが起こるという情報を手に入れていた。そこで私はその首謀者と取引しあえて何かを起きさせやすくしたのだ。そしてその協力者を一気に捕まえる。それが私の作戦だった。


 そして私はその時天命教について調べていた。理由はこの国に害な可能性があるからともう一つ理由があるのだが,それは話さなくていいだろう。


 調べていく内に分かったことがある。それはこの街で起こっていることが天命教の差し金だということだ。私は焦った。そして私がこれからについて考えていた時ある不思議な少年にあった。

 

 その少年,ヒロキは突然やってきた。この街はあまり栄えていない。だからここに来る冒険者なんてそうそう変わらない。住民の出入りもあまりない。来ると言ったら商人くらいか。私はスパイという職業もあってこの街の人,だいたい5000人くらいだな,の顔は覚えているんだ。


 だけどヒロキの顔は初めて見た。もしかしたら旅の商人かなんかかと思ったが彼はなんと冒険者登録をしに来たらしい。


 すぐに私はこいつは不法侵入だと思った。そして今ここで殺してしまおうと思ったんだ。もしかしたらこの時の私はいろいろなストレスがあいまっていらいらしていたのかもな。今思えばもし殺していたら問題だった。反省だ⋯⋯。


 私はヒロキをギルドの訓練場に誘った。そこなら人目につかないからだ。さすがに簡単には訓練場に行ってくれないかと思ったのだが案外すぐに行ってくれた。そして私は後を追いかける。もちろん気配は消していたが。


 そして階段をおり,ヒロキの足が止まった。私はそっと剣を抜く。そしていざ行かんと思った時,手が震えていることに気づいた。私は本能に従って解析鑑定魔法を使って見る。


ーーー鑑定不能だった。


 私は動揺した。初めての経験だったからだ。これは確か相手が自分より強くて且つすさまじい精神力があってこそ成り立つものなはずだ。これは人間種の血が入ってる者限定のことだからもしヒロキが完全に魔物であったならば話は別だがそんなことはないだろう。


 私は暗殺をやめることにした。なぜかは分からない。でもここで彼と敵対してはこの国に不利益だと思ったからだ。


 そして私はギルドのカウンターに戻る。そこからは説明する必要はないだろう。まあ,ヒロキのことやテロのことを考えていたから説明がかなり雑になってしまったけどな。そこはご愛敬だ。


 ヒロキが最初の依頼を受けた。まあ,私の雑な説明の弊害がでたが何とか依頼を受け取るとヒロキは町に出ていく。そしてだいぶ時間が経った。



ーーードゴーン。



 爆発音がした。私は驚いて表に出る。そこには近くの森から煙が出ているのが見えた。急いで私はこの街の騎士を集める。そして私が騎士であることと,異変のことについて話した。ちなみにさすがに私はこの国の直属の騎士であることは言えないから公になっていない騎士団の団長ということにしたけどな。


 騎士たちは驚いていたがすぐに正気に戻ると異変の調査に乗り出た。どうやらこの街の騎士は上下関係がすごく厳しいらしい。騎士団長と言ったらすぐに尊敬してくれた。もちろん偽造した団長証の効果もあっただろうがな。


 森に着くと大きな穴が開いている。私たちは急いでそこに入っていった。それにしても誰がこの穴を掘ったのだろう。


 そして地下に行くとそこにはなんとテロリストたちが倒れていたんだ。何人かは犯罪者として有名で騎士団でも名前が挙がっている人物だ。なにより驚いたのが死んでいるのが三人だけだったということだ。このテロのリーダーと爆弾の前にいた二人。それ以外はみな気絶していた。手練れを無血で制圧できるなんてもしかしたら私と同じくらいの強さの人がいたのかも知れないな。


 そして私は王都に帰った。この件を説明するためだ。


 説明が終わるとすぐに新しい密命が出された。それは『勇者の補助』だ。まったく,少しは休む時間をくれよな。


 そして私はすぐにベルセルクに戻った。


 そこからはみんなも知っている通り傭兵を装って連という少年にあい,協力関係を築いた。


 そして私はまた王都に呼び出された。行ってみると今の任務と並行で『正体不明の龍を調査すること』の密命を受けた。まったく,私を何だと思っているんだ。私は人だぞ。


 そしてベルセルクに帰ると,町の城壁は壊れていた。聞くとスタンピード,風竜王が攻めてきて地竜王に守られたそうだ。正直,は? と思ったね。だってそれこそ神話の戦いだ。できるなら私も見たかった。全く,運が良かったのか悪かったのか⋯⋯。


 そして時間は流れ私はエンラにいた。勇者たちについていったためだ。その間に連という少年は妖精を探していた(結局見つからなかった)勝という少年に「月がきれいですね」と言われたりしたが何だったのだろうか。ちなみに私は「月は触れられないから美しいんだよ」などと返したがなぜ勝君はしょんぼりしたのだろうか。


 その間も私はヒロキのことを考えていた。彼は今何をしているのか。彼はいったい何なのか。次あったら何を話そうかなどだ。


 それにしてもこの彼のことを考えると胸があったかくなったりきつくなったりするこの気持ちは何て言うんだろう。初めての感覚だ。


 そして月日は流れた。その間私はただ王城に変化なしの報告をするだけだった。そしてその日私は宿をかえた。今までは安い宿に泊まっていたのだが,ボーナスが入ったのだ。


 私がとまった宿は『手ごろな宿』だ。私は303号室を借りた。そこはなかなか部屋が広く居心地が良さそうだ。そして私は外に食べに行く。


 そして戻ってきたとき,ふと思ったのだ。普通に帰るのは面倒だな,と。そして『手ごろな宿』は部屋の窓が通りに接している。今は人通りもない。私はひらめいた。


 私は窓から部屋に入ることにした。私は窓まで跳躍する。そして鍵を開ける。もちろんこのくらいはスパイだからできて当たり前だ。


 そして中に入る。今思えばこれが間違いのもとだった。


 私が中でゆっくりしているとふと扉が音を立てた。なんだ,ここは幽霊でもいるのか。


 そう思った私は扉の方へ歩く。その時につけていた鎧が音を立てる。そして扉が開いた。


 なぁぁぁぁっぁぁぁっぁ。ひぃぃぃぃろぉぉぉぉぉきぃぃぃ。


 きっと私の頭の中はこんな感じになっていたと思う。そして気づく。ここ,303じゃない,と。


 そこからはあまり覚えていない。必死に逃げ出した記憶がある。そして気づくと私は森にいた。ちょうどいい,今日は一晩中森で狩りをするか。そう思ってわたしは魔獣とたわむれていた。


 そして朝日が立ち込めてきた。もう時間か。そう思った私は急に眠くなってきた。殺した熊を下にひく。そして寝てしまう。


 私が起きたのは殺気を感じたからだ。起きるとすぐに剣を構える。目の前には一人の魔人が立っていた。

「ぐふふふふ。あなたがカウラですなぁ」

「そうだ。貴様はなんだ」

「ぐふふふふ。では容赦はいらんでしょうなぁ」

そういうと魔人の男の体が膨らむ。

「狂人化ですなぁぁぁぁ」


 そしてその狂った化け物と私の戦いが始まった。



 20分くらいか。私がその魔人を倒すのにかかった時間は。思ったよりかかってしまったな。そしてこいつの特徴からこいつは魔人ターであることが分かった。確か魔王デルタモル四天王の筆頭だったはずだ。まさか魔王以外に苦戦するとはな⋯⋯。


 そして私は気づく。町に魔王が攻めてきているのではないか,と。これはまずいな。そう思った私は魔法を使う。爆発魔法と風魔法だ。そして私は宙を飛んだ。


 そして今に至る。なぜかヒロキがいてかなり焦ったが今は魔王に集中だ。魔王は気を抜いていい相手ではないからな。なぜかヒロキが魔人を抱いていてイラついたがこれも今は関係ないな。戦闘に必要ない感情は切り捨てる。


 そして魔王が動き出した。私とデルタモルの戦いが今始まった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] やはりカウラさんはスパイでしたか カウラさんイケメン [一言] 弘樹くん失敗しましたね、地道に土を掘ればよかったのに超高速で
2020/05/17 04:55 トリーノヴァ
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