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031話 公爵を助けた件

 こんにちは,ルーです。ここまで読んでくださりありがとうございます。これからもよろしくお願いします。





 次の日の朝早く,俺たちは早く起きた。それは出発が早いからだ。騎士によると,今日早く出発すれば今日中に着くこともできるかもしれないらしい。もし今日中につけたら大幅に時間の短縮になる。少しでも情報が欲しい今,時間は少しでもあったほうがいいと昨日連がみんなに言い,協力してもらった。


 ほとんどんの人が顔を洗い完全に覚醒してきたころ,騎士団の人からもうそろそろ出発すると知らせがあった。俺は大急ぎで荷物をまとめると馬車に積み込んだ。


 出発からしばらくたって太陽がちょうど頭の上にきたころ。俺は横ですやすやと眠る立夏を見ながら考え事をしていた。


 俺たちが元の世界に戻れることはあるのだろうか。いや,何があっても戻らなくてはいけない。俺はともかく,こいつら高校生が永遠に親に会えなくなるなんて悲しすぎる。何があろうと戻らせなくては。


 俺が憂鬱になりながら外を眺めていた時,馬車の運転手から知らせがあった。それは「近くにある森の奥からのろしが上がっているのが見えた」ということだった。


「おい,騎士,のろしが立っている」

俺が騎士団の人に大声で伝える。違う馬車に乗っているとはいえば馬車どうしがあまり離れていないのですぐに騎士団の人が顔を出し,近くの森から上がっているのろしを見て顔を青ざめる。そして騎士団の人が慌てたような表情で叫ぶ。


「あれは貴族の緊急信号です。あそこで何かトラブルが起きているのかも知れません」

「緊急信号,トラブルか」

「はい。緊急信号は貴族が緊急事態に陥ったときに知らせるシステムです。本当に緊急の時しか出されないのでその緊急度はかなり高いです。これは助けに行かないとまずいですね」

「そうか。それなら助けに行かないと」

「分かりました。幸い進路上にあるのでもうすぐ着くことができると思います」


 そういうと騎士の人は馬車の運転手に何やら指示を出す。すると馬車は加速し始める。

「勇者様も戦闘準備をしておいてください」

「分かった」



 馬車の速度はどんどん上がる。着くまでの間,戦闘の準備をしながら俺たちは車内で話し合っていた。

「ねえ,もしかしてこれってテンプレの魔物や盗賊に襲われている貴族ってやつ?」

「おいおい。これは現実なんだぞ」

「そうだけどさ,やっぱり本でしか味わえなかったことを実際に味わうと思うとね」


 だけど,緊急事態か。まず間違いなく魔物との戦闘になるだろうな。ガンバロ。


 そうこうしているうちに馬車はのろしの上がっていた場所に近づいてくる。

「もうすぐです」


 そして馬車が角を曲がると,そこには広い空き地が広がっており,馬車が数台止まっているのが見えた。その周りには騎士と思われる人が何人か倒れている。


 なっ。まさか手遅れとかないよな。はやく,馬車よ止まれ。


 俺の乗っている馬車が倒れている騎士の近くに急停止する。その反動で思わず倒れそうになるのを耐え,俺は馬車から駆け下り倒れている騎士に声をかける。


「おい,大丈夫か」

騎士の人は軽い布の装備しかしていなかった。俺が心臓のあたりに触れるとまだ動いていた。息もしているようだ。

「よかった,無事だ」

俺がそう呟いたとき,周囲から戦闘の音も魔物の気配もしないことに気づいた。これは異常だな。のろしが上がっているってことは戦闘が行われていると思っていたのに。それに俺たちが来たことに誰も気づいてない。


「連,まさかもう手遅れとかないわよね。もう誰かが連れ去られた後とかだったらやばいわよ」

立夏がそう呟く。

「そんなことはないはずだ。きっとあの馬車にはまだ人が乗っているはずだ」


 俺は嫌な予感がぬぐえない。そして恐る恐る馬車の扉を開けると,そこには怯えた少女とそのメイドと思われる人が乗っていた。


 途端に俺の緊張が解けた。良かった,無事なようだ。だがその少女はまだ怖がっているようだ。

「やっ。来ないで」

少女がそう言って俺たちから距離を取る。

「もう大丈夫だ」

俺はそういうとその少女に近づく。するとメイドが立ちふさがってきた。

「この蛮族どもめ。私がいる限りはメアリー様には近づけません」


 これは困ったな。何か勘違いをさせられている気がするぞ。

「大丈夫だ。俺は悪い人じゃない。何があったのかは知らんがもう大丈夫だ」

そういうとメイドの顔が和らいだ。

「もしかして,あなた方が倒してくれたのですか。あ,ありがとうございます」

これを聞いた俺は急いで訂正する。

「俺たちは何もしていない。ただのろしを見てここに来ただけだ」

メイドは困惑する。まだ状況が整理できていないようだ。その時後ろから声がする。

「こ,これはどういうことだ」

俺が振り返るとそこには意識を取り戻した騎士がいた。

「ま,まさかあなた方が⋯⋯」

俺はもう一度同じことを説明した。



「公爵様,公爵様。おきてください。あなたが起きないと私たちのお給料がなくなってしまうんですよ」


 見るとメアリーと一緒に乗っていたメイドとは違うメイドが倒れていたおじさんの意識を戻そうと頑張っていた。メイドの頑張りもあってその公爵様と呼ばれたおじさんは目を覚ました。目を覚ますと同時に

「メ,メアリーはどこじゃ。儂の可愛いメアリーはどこじゃ。まさか魔物にいいようにされてはいないな」

と叫ぶのであった。


「は。ここはどこじゃ。まさか助かったのか。あの状況から助かったのか」

「ええ,助かったのですよ。私も信じられませんが」

公爵様は起き上がると辺りを見回す。そして近くにいた俺たちを見つける。

「まさかあなたたちが儂たちを助けて下さったのか」

「いや,違う」

三度目の説明にはかなりの時間がかかった。


 どうでしたか。さて誰が公爵様を助けたのでしょうかねぇ。


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