山へ
サバイバル開始
翌朝、サバイバルキットとザイルを持って山を登る。
街から山へは道が整備されていた、道に石をはめ込んで雑草などが生えない用にしてある。
坂には階段も作られていた、やがて果樹園にたどり着いた。
オリーブ、アプリコット、オレンジ、ミカン、クルミなどが、手入れされずに放置されている。
それでも小さいながらも実は付けている、それを食いに小動物が集まっていた。
リスにウサギ、鹿に猪もいるようだ、姿は無くても排泄物と足跡でわかる。
驚いた事に鶏までいた、人が居なくなってから、野生化したらしい。
枝にも止まっている、肉には苦労はし無いようだ、明日は肉を確保しよう。
そのまま登ると展望台と言うか、昔は見張り台だった、そう思われる場所に出る。
朽ちた見張り台と、その側には台の上に木材と松の枝と実が置いてある。
松の実と枝は着火材にも、煙が出る為に狼煙にもなる。
そこからは島の南側が見回せた。
海が見えた……白い砂浜にかなり遠浅なのか、ここからでも浅い海だとわかる。
その先は岩礁帯でその先は深そうだ。
海の色が違う、濃い青い色に変わって底が見えない。
そのまま登ると山頂に着いた、周りは全て海で船の姿も無い。
他の三方は鋭い崖と岩礁地帯だった、成る程、この島はここの砂浜だけを見張れば事足りる。
展望台が山の中腹にあるのも、納得出来る天然の要塞の様な島だ。
山から降りて、これからの事を考える。
食料は節約すれば半年は持つ、しかしジャガイモやサツマイモなど、そのまま腐らすのも惜しい。
畑を作るか?、サツマイモは確か連作障害は無いはずだ、肥料も要らない。
と言うか痩せた土地の方が向く、水も殆ど要らない。
逆にジャガイモの方が、連作障害があるくらいだ。
問題は病気だ、種芋専門で作られた物では無いので、病気に気を使わないといけない。
こまめに区画を分けて耕す事にした保険は大事だ。
しかしまずは、寝食をする場所を決めよう。
俺はこの時から、1人で生きていく決心が着いた。
山を降りると俺はまず、寝る場所の確保に動いた。
まずは中で火を焚ける事、二酸化炭素中毒にならない為にも、そこそこの広さと高さのある建物を物色する。
トラックを置いてある建物の隣が、元は村長か町長の物だったのか、そこそこ広く天井も高い。
屋根も、ここの建物は石で作られているので、残っていた。
元は居間だったのか暖炉のある部屋がある、そこを寝床に決めるとまずは外から乾いた木を運んで暖炉に火を付ける。
松の葉っぱなど、わざと煙の出る物を混ぜて煙を出す。
これは部屋に居るであろうダニなどの虫から身を守る為だ。
元は台所だった場所にも、カマドに火を入れる。
暖炉のある部屋に空のカゴ車を持って来ると、うつ伏せにしてトラックのラッシング用のベニア板を被せる、その上にエアーマットレスと寝袋を乗せるとベットが出来た。
カマドのある部屋にも設置してテーブルにする、椅子は丸太を持って来た。
戦場用の衛生キットのポリタンクに水を入れる。
この水は家の近くに、上水道から引いた水場があった。
台所の裏にシャワー室を設置する。
迷彩柄のシートでぐるりと囲んで、パイプで組んだ骨組みに黒いビニール袋に入ったポリタンクを乗せるだけだ。
太陽の熱であたたまるので、朝に入れた水が夕方にはぬるま湯になる。
スノコとビーチサンダルも置いておく。
使えるのは明日以降だ、夕方になったので衛生キットにあったバケツに水に汲んで身体を拭く。
軍用携帯食には水を入れると加熱する物がある、一つに水を入れて発熱させると素手では持てないくらい熱くなる。
豚肉がメインの物を食いながら、明日から畑を耕す事を考える。
次の日、俺は元は畑だった場所に来ていた。
雑草が生茂る一面の緑にうんざりする。
しかしやらないと次に進めない、Tシャツに軍手頭にはタオル。
完璧にドカチンスタイルの俺は草抜きから始めた。
途中で休憩を挟みながら、昼まですると腰がガクガクしてくる。
今日はここ迄にして昼飯を食うと、罠猟の仕掛けを作る事にする。
携帯食は日持ちする大事な財産だ、罠は猟師だった叔父に習って手が覚えている。
ワイヤーとパイプを使ったくくり罠と言われるタイプだ、何個か作ると餌にする為に、傷んだジャガイモとサツマイモを選別する。
中には芽が出ている物が何個かあった、一度に広げるのは辞めて、少しずつ畑を作る事に路線を変更しよう。
次の日は朝からくくり罠を仕掛ける、ワイヤーの端を木に固定すると、輪っかの中に餌のジャガイモやサツマイモの切り端を置いておく。
終わると畑に行って、草抜きの終わった場所の土をスコップやツルハシで掘り起こしてから、芽の出たジャガイモやサツマイモを区画を分けて土の中に埋める。
そんな日々を過ごして、数日が経ったある日。
くくり罠に獲物が掛かっていた。
ロック君は大事な事を忘れている
それはまた後日