射撃訓練
趣味全開!
射撃場は野外で壁に土嚢が積んであった。
標的紙をセットすると軍曹が22口径のハンドガンを用意する。
スペインで生産されたラーマ社のコルトガバメントのコピー品で、口径が小さい為にオリジナルの45口径よりも小さい。
机の上にマガジンとハンドガンを置くと軍曹が場所ごと交代した。
六郎はまずハンドガンを握るとスライドを引いてスライドオープンの状態にする。
薬室に弾が無いことを確認してから、マガジンをマガジンインロットに挿し込むと軽くマガジンの底を叩いて押し込む。
スライドオープンを解除すると、スライドが戻って初弾が薬室に入った。
同時にシングルアクションのハンマーが起きた状態になって発射可能な状態になるので
安全装置を右手の親指で操作して、安全装置を掛ける。
軍曹は無言でその様子を見て、大丈夫と確信したのか、そのまま撃つように指示を出した。
六郎は肩幅と同じくらい足を広げると、軽く膝を曲げて身体を安定させる。
両手でハンドガンを安定させると安全装置を解除して、狙いを付けてからトリガーガードに添えていた人差し指をトリガーに添える。
そのままゆっくりトリガーを絞ると、軽いタンッ!言う音と共にスライドが動いた。
そのままマガジンの弾を撃ち尽くすと、まずマガジンを抜いてスライドを引いて、スライドオープンの状態にしてから、銃口を標的紙の方向へ向けてそっと置いた。
その様子を見て軍曹が頷くと。
「次はリボルバーで行こうか」
軍曹が次に用意したのはS&W36、チーフスペシャルと呼ばれるポケットリボルバーだ。
38口径で装弾数は5発、主に私服警官やサイドアームとして今もなお人気のあるリボルバーだ。
軍曹が机の上に弾10発と共に用意してから場所を変わる。
六郎はまず両手でリボルバーを握ると右手で支えてラッチを押し込む。
リボルバーでもメーカーに寄って違うのだがラッチを押し込むタイプと引くタイプに別れる。
ラッチを押し込むとシリンダーがスイングアウトして5個の穴が空いているのが見える。
六郎は38スペシャル弾を5発込めると、左手でシリンダーを押し込む様に元に戻す。
リボルバーには安全装置は無いその為右手の人差し指は、トリガーガードに添えて真っ直ぐに伸ばして標的紙に狙いを付ける。
軍曹の射撃開始の声が掛かって、初めてトリガーに右手の人差し指を添えると。
ハンマーを起こすシングルアクションでは無く、そのまま引き金を引くダブルアクションで5発の38スペシャル弾を撃ち尽くした。
パンッ!パンッ!っと、5発音がすると六郎は右手の親指でラッチを押し込むとシリンダーを解放させる。
シリンダーを解放してから左手でシリンダーを支える。
そのまま銃口を上に向けてエジェクトンロッドを押し込んで、火薬の熱で膨張した空薬莢を排出する。
そのまま左手でシリンダーを持ちながら右手で5発の38スペシャル弾を再装填すると。
また5発のパンッ!パンッ!っとする音が響いた。
再びシリンダーをスイングアウトして空薬莢を排出すると、シリンダーを解放したまま。
リボルバーの右側を下にして、銃口を標的紙の方に向けてリボルバーを机の上に置いた。
その様子を無言で見ていた軍曹は六郎に。
「ハンドガンは問題無いな、次はアサルトライフルだ」
そう言うとAKMと30連バナナ型弾倉を机の上に用意する。
AKMーロシア製のこのアサルトライフルは、欠点らしい欠点が無い。
寒冷地、ジャングル、砂漠地帯などあらゆる場所で問題無く使えるこのアサルトライフルはそれこそ世界の半分で使われていると言っても過言では無い。
六郎はAKMを持つと、まずコッキングレバーを引いて薬室に弾が無いのを確認すると、30連バナナ型弾倉を斜めから押し込む様に装着する。
AKMのセレクターレバーは安全装置になると共に、空薬莢の排出口から泥や雪などから薬室を守る為のダストカバーを兼ねている。
その為1番上のセフティからセミオート、フルオートと3段階に分かれている。
六郎はセミオートに合わせてセレクターレバーを合わせると、コッキングレバーを引いて薬室に弾を送り込んでから上に上げて安全装置を掛けた。
それを確認した軍曹が六郎に射撃開始と声をかける。
六郎はセレクターをセミオートに合わせるとゆっくりと狙いを付けて引き金を引く。
ハンドガンとは火薬量が違う為、甲高く大きな音を立てて7・62㎜弾が銃口から放たれる!
六郎は30発をセミオートで撃ち切った。
射撃場から事務所に戻った六郎と軍曹は再びメリンダの元を訪ねて居た。
軍曹が問題無しとメリンダに報告すると、六郎に首から下げる認識表と共に書類を一枚六郎に渡した。
「武器庫から銃を拝領する書類よ、一応会社支給品だけど、個人で好みの物を売店で買うのも自由だから」
そう言うとAKMとマカロフの受領書を渡すと。
「管理は自室のガンロッカーでお願い」
そのまま拝領したら自室で整備しろと六郎を送り出すと残った軍曹に。
「で? 結果はどうだった?」
そう言うメリンダに、軍曹は六郎の標的紙を見せる。
所々にまとまっている様々な大きさの丸を見て軍曹が。
「集弾率は良い、特にライフルが良い」
銃器に触った経験はあるがハンドガンよりアサルトライフル向きだと言うとメリンダが。
「彼……元は、JSDFの学生さんらしいわよ」
それを聴いて軍曹は眉間に皺を寄せる。
「自衛隊、セルフディフェンスフォース?」
「自衛隊学校の医官……衛生兵を希望だったらしいけど、資格を取る前に辞めてるわ」
そう言うとメリンダは軍曹に。
「知識があるなら衛生兵として後方任務に当てるわ、トラックも乗れるらしいから助かるわね!」
「しかしまた何で、資格を習得する前に……」
そう言う軍曹にメリンダは。
「過去は詮索し無いのが傭兵の最低限のルールよ」
詮索はし無い、任務さえこなせれば良い。
メリンダはそう言うと軍曹に。
「明日から六郎……言い難いからロックでいきましょう!」
配送ルートと仕事の仕方を教えてくれと軍曹に指示すると、メリンダは書類仕事に戻った。
軍曹は部屋を出ると小声で。
「守りの為の軍隊、SDF……か」
そう1人呟くと、その場から離れた。