ナターシャ
今回の為
前作を少し変えてあります
ナターシャが周りを散策して居ると、足音が聞こえた。
ハッっとして音がする方を見ると、ロックが鍋釜などを木で作った担架で、ズルズルと引きずって来ていた。
ロックはナターシャに気がつくと。
「もう出歩いて、大丈夫なのか?」
そう言うと、噴水のある水場で鍋釜を洗い出した。
ナターシャは躊躇いながらロックに。
「他の人は?」
そう聞くと、ロックは鍋を洗いながら。
「誰も、島には俺しか居ない」
ナターシャはそれを聴いて思わず。
「誰も居ない!…そんな!……では」
ウチの一族は?
思わず、そう聞きかけた。
ロックは鍋を洗うと、そのまま米を洗い出した。
昆布で出汁をとると、米、干し肉、行者ニンニクなどの野草を入れると蓋をしてカマドで煮込み出す。
「まだ身体も疲れてるだろ」
そう言うと、煮込んで柔らかくなった、雑炊もどきに最後に卵を入れる。
「鶏が野生化して、その辺に巣を作っててな」
鍋の中をかき回しながら。
「たまに貰うんだよ」
そして、カマドから鍋を取ると、そのままテーブルに置いた。
船から取ってきた食器に、雑炊もどきを入れると。
「腹減って無いか?」
そう言うと、木で出来たスプーンと一緒にナターシャの前に出す。
その時、ナターシャの腹の虫が鳴いた。
赤い顔でお腹を押さえるナターシャに、ロックは。
「お代わりもあるぞ!」
笑って自分の分を食べだした。
食べながらロックは、これ迄の事をナターシャに話しだした。
自分の住む国の事。
霧の中の話し。
気が付けばここ、孤島に居た事。
そこまで話すと、ナターシャが反応した。
「孤島?!」
ロックは、2杯目の雑炊をナターシャに渡しながら。
「ああ、俺の国の遊牧民の女の子が」
昔、奴隷狩りから逃げてきたって言ってて、その場所が。
「孤島私達の故郷だと」
そう言うと、ロックは、ナターシャが泣いているのに、気付いた。
「そうか……生きていて、くれたか」
そう言うと、雑炊もどきを食いながら泣き始めた。
ロックは黙って、雑炊もどきが入っている鍋を出すと、昔、遊牧民の子供達がくれた、通訳の魔石をいじり出す。
それを見て、ナターシャが反応した。
「そ!、その石は?……通訳の魔石!」
それを聴いて、今度はロックが驚く。
「遊牧民の子供達もそう言っていたが」
なんなんだ?そう聞くロックにナターシャは。
「身体から外してみろ」
そう言われて、認識票ごと外すと。
ナターシャが喋り出した。
「$€¥*〆#%」
ロックが慌てて、また身に付けると。
「聞こえるか?」
ロックが首をコクコク縦に振ると。
「それは通訳の魔石、と呼ばれる物だ」
ロックはナターシャに。
「それは貰った時に聞いた、でも……」
何にも役には…そう言いかけた時。
「それは……この世界だけが使える物だ」
創造神様がそう作られた。
ナターシャはそう言うとロックに。
「私の名前はナターシャ……このガイアの住人で」
ロックを指差すと。
「お主は迷い人、魔石山脈の霧が運んだ」
別世界の住人だ……ロックにそう言うと、このガイアの事を説明し出した。
ガイアは創造神様がお作りになられた。
創造神様が作られた時、このガイアに生き物は存在しなかった。
ただ魔石山脈の魔石だけが、長い年月を動かずに過ごすと。
それを気の毒に思った、創造神様が小鬼を作った。
しかし、創造神様が作られたのは牡のみでこのままだと、また生き物が居なくなる!
そう思った魔石山脈は、霧を出して別の世界から生き物を運び始めた。
様々な動物と共に、亜人族、人族など引き寄せると、その者達は混じり合って、別な種族を生んだ。
その種族を、魔石山脈の霧は他の世界に送り出した。
そこまで聞いて、ロックはナターシャに。
「ウチの世界にも、ノームとか狼男とか吸血鬼とか」化け物の話しって色々あるけど……」
ナターシャはその話を聞くと。
「無から有は産まれん……おおかた」
魔石山脈の霧に運ばれた、こちら側の迷い人だろうな。
「UMAの正体がわかった件!」
ロックはそう言うと、興奮しながら。
「突然現れる未確認生物、昔話の化け物、狼男やドラキュラ、神話に出てくる」
ミノタウロスやサーペントも…正体は!
霧の中の迷い人、魔石山脈の犠牲者。
ロックは、ナターシャの耳を指差して。
「じゃあナターシャも?エルフって奴なのか?」
ナターシャはそれを聞いて。
「正確にはハイエルフ……エルフの中でも長寿の一族じゃ」
だからここの事も知っておる。そう聞くとロックは。
「何百年も前だぞ!いったい何歳な…ん…」
その時にナターシャから殺気が飛んで来た、慌ててロックは。
「何でもない!……何でもないから!」
そう言うと、俺は海にまた戻る。
逃げる様に、外に出るとナターシャに。
「無理せずに、寝てろよ」
そう言うと海に戻って行った。
ナターシャは外に出ると、見張り台まで山を登り出した。
変わらない道…変わらない風景。
そして展望台に辿り着くと、ロックが船に筏を寄せていた。
明日はロックを手伝おう、だが今日は。
ここに帰って来た事を、喜ぼう。
目に涙を溜めながら、ナターシャは海を見ていた。
変更箇所
先祖達
から
私達




