『おやすみ、されど朝が来る』
揺れるカーテン。差し込む光。
窓の隙間から溢れる静かな風。
布団にくるまり眠るあたしを、君がゆり起こす。
「おはよう」と互いに体を寄せ合う。
あの暖かい日にはもう戻れない。
昨日がどんな日であれ、今日には何が起きるか分からない。
其れは喜びであったり、絶望であったり、残酷な運命であったり、希望に満ち溢れた日々であったり。
一年前と今は、違う。
あたしは暖かさを知らない。
目が覚めると其処は、鉄格子の檻。
冷め切った心と、寒い部屋。
時々、夢を見る。
其れはあの暖かい日々であったり。
当たり前の平凡な家庭であったり。
眠りにつく時、このまま目が覚めないことを祈る。
孤高に、孤独に、一人夜空を見上げ
「おやすみ」
と呟いて目を閉じる。
されど、朝が来る。
あたしはゆっくりと起き上がり、のびをする。
そして何事も無かったかのように、今日も笑い、歌い、明るく振る舞って魅せる。
心の悲鳴や叫び出したい衝動を隠しながら。
孤独さえも愛しちまえ。囁く。
投げやりに生きる日もありゃ、前しか向かない上機嫌な日もある。
その日の気分でつらつらと。
どんな時でもあたしは希望、夢、未来を忘れたりしない。
人の痛みが分からない、可哀想な奴等に何度踏み躙られようが、罵声の言葉を浴びせられようが、あたしは留まることを知らない。
そんな奴等は笑い飛ばしてやりゃあいい。
10割中、9割に嫌われようが構わない。
1割で上等だ。自己流で行こう。
ヘシ折れたりしない。
立ち上がり続けて魅せる。
光差す向こう側を見据えて。
とにかく生き続けることだ。
とにかく踊り続けることだ。
此の呼吸のある限り。
此の命のある限り。
何度絶望のドン底に突き落とされようが、傷つくことを恐れることは無い。
振り切れ。蹴飛ばせ。世界は広い。
未来は明るい。
演じることの無意味さよ。
ー さあ、夜が明ける ー
「おやすみ、されど朝は来る」