異世界に勇者として召喚されたけど、毛根回復の魔法がない事に絶望した俺は、魔王退治よりふさふさの魔法を探しに旅に出た
長いタイトルの作品が多いので、長いタイトルを付けたかった為だけに書いたもの。
気が付くと光がさんさんと降り注ぐ大聖堂にいた。
少し離れた場所には何十人もの、白いローブを頭にすっぽり
被った人々が固唾をのんでこちらを見ている。
さっきまで、確かに自分の部屋で鏡を見ていたはずなのに…。
うまく状況が理解出来ない俺に、他とは違う金の刺繍の入ったローブを被ったじいさんが話しかけてきた。
「あなたさまが、勇者様ですか?」
「いえ、違います」
思わず、間髪いれずにそう返す。
生まれてこの方、勇者を名乗った事はない。
「いや、さすが勇者様。ユーモアのセンスもあるのですね」
じいさんがそう言うと、かっかっかっと笑った。
周りもそれになぞるように、場の空気が少し和らぐ。
「古の儀式により呼び出されるお方。その方こそ、この世界を救う勇者様であると、我々の古文書にはそう記されております」
そう言うと、じいさんは広辞苑ぐらいありそうな、分厚い本を掲げた。
「これによりますと、勇者様は火属性・水属性・風属性・土属性・そして伝説の光属性をすべて使えると記されております。どうか、どうかお願い致します!この世界をお救いください!!」
じいさんがそう頭を下げると、周りもいっせいに頭を下げた。
魔法がつかえて、伝説?の光属性も使えて。
これって、チートってやつじゃね?
あれ、もしかして、俺、ここで無双出来ちゃうんじゃね?
「まあ、俺にできる事だったら…」
その言葉を待っていたとばかりに、じいさんがガバッと頭を上げる。
その瞬間、フードがはらりと落ちた。
「!!」
「どうか、なさいましたかな?勇者様?」
「…いや。あの、光属性の魔法というのは勇者しか使えないんですか?」
「そうですな」
「えっと…、どうやって使うんですか??」
じいさんはパラパラと広辞苑…じゃなかった古文書をめくる。
「光属性の魔法は、勇者様が心の中で願った事が奇跡として体現されると記されていますな」
「そうか」
俺は、じいさんに向かって手を伸ばす。
なんとなく、手から発動されるのかな的な。適当な奴だ。
手のひらに温かい光が集まってくるのを感じる。
「ゆ、勇者様?何を?」
バレーボール位に膨れた光の玉が、じいさんに向かって一直線に飛んでいく。
「勇者様!?」
じいさんの頭にぶつかった光は、ぴかっと輝いて消えた。
「いまのは、一体…」
「長!頭が!」
「何!わしの頭がどうした!?」
「勇者様のご加護を受け、いつもより輝いております!!」
「素晴らしい、さすが、勇者様!!んっ?勇者様?」
勇者と呼ぶ声を背中に俺は走り出していた。
何が勇者だよ!
何が光属性だよ!
ハゲには効かないのかよ!!!!!!
16歳という若さで、薄毛に悩んでいる俺はこの異世界で絶対に毛根を生き返らせる方法を見つけてやる!
そして、ハーレムエンドで無双してやる!!!!!