ep.7「報告」
「フム…ヒュイド族か」
第三チーム全員が、ゼバル隊長の部屋に集まっている。
あの後、班長が暴れ終わるまで城の内部を調査し、無事に帰ってくることができた。
二階には、城の設計図らしきものも置かれていた。他にも、レーザー銃を作らせようとしたが失敗した跡も。
アクアード星のスライムに武器を作らせ、反旗を翻させたようだ。
「大量にあったこのマーク、そして私達の侵略した星に様々な技術を伝えて反乱を起こすよう仕向けたこと。我ら地球に向けてのメッセージ、と受け取っていいでしょう」
班長が腕を後ろに組み、丁寧な言葉遣いで話す。
水樹さんがポケットにずっと入れていた黒い布を隊長に渡した。
「しかし、ヒュイド族…。数年前に全員殺したハズでは?」
隊長が受け取った布を机の中にしまう。
「ええ、その通りです。ですが、まだ生き残りが居たということでしょう」
ゼバル隊長が班長の言葉を聞き、立ち上がる。
「これから侵略班はヒュイド族の捜索、抹殺を優先的に行う。第一、第二にも伝えておこう。班長は夜に会議をするから集まるように」
それだけ言うと、ゼバル隊長は退出するように促した。
オーロさんが出たのに続き、同じように部屋から出る。
「ヒュイド族ね~。また面倒くさい奴らが出たもんだよ~」
オーロさんが部屋に戻る途中に言った。
「その、皆さんが話してるヒュイド族ってどんな奴らなんですか?」
煙草を携帯灰皿に押し付けたオーロさんが語る。
「仲間意識がとんでもなく強くてね~。一度奴らの一部が住んでいた星に侵略したときからの因縁だよ~。数年前に地球全体の電気が使えなくなっただろ~? その時、ヒュイド族が地球に攻めてきたんだよ~」
確かに、数年前に電気がしばらく使えなくなったことがある。
太陽で何かが起こった、という報道がされていたが、一日程度で復旧したため記憶が薄れていた。
「その時に襲ってきた奴ら、共にアジトにしてた星にいたのも全員殺したんだけどね~」
話が一区切りついたところで、ちょうど第三チームの部屋に着く。
窓の外を見ると、もう夕方だ。
プフェーアトさんは部屋から走り去っていき、水樹さんは部屋で眠ってしまった。
班長も部屋から出て行ってしまう。
「…少年~。俺も夜のギャンブルまで時間があるし、この侵略班の施設を案内しようかい~?」
新しい煙草に火を点けたオーロさんの言葉に、
「はい」
と返事した。