ep.84「決着」
上から斬りかかるが、交差された腕で止められる。
「ほらぁ!」
剣を弾かれ、ノーガードになった顔面に拳を叩き込まれる。
口の中が切れて血だらけになり、鼻からも血が垂れる。
「フン!」
剣を逆手に持ち、ロジーの右肩から左わき腹を思い切り深く斬る。
痛みに体を怯ませることすらせず、ロジーが頭を両手で掴んでくる。
軽やかな動きで飛び上がり、重力と遠心力を生かした強力な膝蹴りを顔面に叩き込んできた。
「ぐぬっ……効かん!」
自分に言い聞かせるように叫びながら、着地しようとするロジーに足払いをかける。
太ももを掴み、一本背負いのように倒れこみながら地面に引き倒した。
顔を殴ろうと拳を振り下ろしたが、手首を掴まれ地面に転ばされてしまう。
「かよわい乙女になんてことするのぉ!」
「乙女?! 自分のやったこと思い出してから言え!」
馬乗りになって殴りかかってくるロジーの手を受け止める。
受け止めた手と、左手でロジーの首に力をかけ、体の上に乗っているロジーを地面に転ばせる。
立ち上がって距離を取り、剣を強く握る。
「なによぉ、人が乙女じゃないっていうのぉ?!」
「その通りだよ!」
ロジーが回転しながらこちらに迫ってきて、脳天にかかと落としを決めようとしてくる。
剣で受け止め、無防備のみぞおちにハイキックを叩き込んだ。
口から血を吐き出しつつも、地面に着地して足を開くロジー。
重心を少し下げ、右に構えた拳を音が遅れるほどの早さで撃ってくる。
ガードも間に合わず、みぞおちに拳が深く突き刺さり、こちらも血を吐いてしまう。
「グブッ……!」
「まだまだぁ!」
怯んだところを、めちゃくちゃに殴ってくるロジー。
全身の骨がビキビキと音を鳴らし始める。
「こんの……野郎!」
剣を鞘に戻し、ロジーの腹に押し当てる。
左手でロジーの目を殴り、剣の向きを上空に変える。
鞘と剣の反発力を最大限にまで高め、鞘ごとロジーの体を空高くまで打ち上げる。
剣を右手で強く握り、ロジーに向かって飛び上がった。
「これで最後ぉ?!」
「そうだ!」
ロジーが空中で目を擦りながら叫んだ。
こちらも大声で返答する。
互いににらみ合いながら、最後の一撃を放つ準備をする。
ロジーは空中で右の拳を腰の横に構え、正拳突きの準備をしている。
剣を腰の横に沿え、いわゆる居合い斬りの構えを取る。
「ああぁぁああははははぁ!」
「おおおおぉぉぉおおおおお!」
限界まで力を込めた剣を、横一文字に振りぬいた。
ロジーの正拳突きが左肩に放たれ、骨と肉を穿つ。
「……あはぁ。」
拳を引き抜いたロジーが、笑い声を漏らす。
自分の体から流れ出る血を押さえながら、笑みを浮かべて地面に落ちていった。
改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。