ep.82「極寒雪原」
ザクザクと、雪を足で踏みしめながら歩く。
肩と頭についた雪を時々手で払いながら、こんこんと降ってくる雪の向こう側を眺める。
「……やっぱり雪原にいたか、ロジー」
黒い髪に、体全体を覆う大きな白衣、何より少しだけ見える鉄製の義足がロジーと判断した材料だ。
雪の塊に座りながら、こちらに背中を向けているロジーは、振り返りらずに自分の眼鏡を外した。
「……君とは、決着をつけたかったんだぁ」
「奇遇だな、俺もだ。だから初めて会ったテネーブル星のときと同じ、寒い場所に来た」
服の裾で眼鏡を拭いてから、再びかけなおす。
音を鳴らさずに立ち上がり、ゆっくりとこちらに振り向いた。
「……私と君が会うのって何度目ぇ?」
「テネーブルで一回、フールのところで一回、でこの前の星で一回……今回を含めたら四回だな」
「そっかぁ……」
下を向き、少しだけ考えるような素振りを取ってから、着ていた白衣を脱ぎ捨てる。
白衣の下は、おびただしい数の鉄板が仕込まれていた。
「君はね、天才だよぉ」
「な、なんだよ……急に」
「冗談じゃないんだぁ。初めて会ったころは、私が一発殴っただけで死にそうなほど弱かったのに……今じゃ私と同等、いや、少し下ぐらいかなぁ?」
右手と左手を頭の辺りまで持っていき、ファイティングポーズを構えるロジー。
こちらも腰に差した剣に手をかけ、ゆっくりと引き抜く。
「多分、私と戦ってるうちに、私よりも……いや、やめとくよぉ」
「言えよ……」
憂いを帯びた表情を浮かべるロジーに少しだけ呆れながら、剣を前に構えた。
互いに目を合わせ、口に少しだけ笑みを浮かべる。
「君の名前、聞いたことなかったねぇ。何て言うのぉ?」
「永宮だ」
「そう、永宮って言うんだぁ……」
眼鏡の位置を上に直すロジー。
息を大きく吸い込み、口角を上げて悪い笑みを作りながら大声で叫んだ。
「永宮クン! 私、君のお腹の中がとっても気になるなぁ! ちょっと裂いてもいいかなぁ?!」
「上等だこの野郎! 逆に自分の内臓を見せてやる!」
気合を入れて戦闘シーン書きますので、どうかお付き合いください。
改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。