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ep.73「会議室」

 会議室。

 普段は各チームの班長たちが話し合うのに使う場所で、普通に暮らしていて使うことはめったにない。

 内装も簡素で、U字型に設置された机と椅子、大きなホワイトボードが置かれているだけだった。


 左側にメノンさんが座り、対面側にはリティさんとプフェーアトさん、その間にネギブアさんが座っている。

 フュジさんがホワイトボードの近くに歩み寄り、マーカーペンを手に取った。


「もう知ってると思うが、侵略隊の庭園と施設を吹き飛ばしたことについての弁償の金額だが……」


 フュジさんが黒い文字で、ホワイトボードに音を鳴らしながら大きく書き込んでいく。

 あえて万という漢字は使わずに、数字で書いているところが少しいやらしい。


「しめて五千万! これをどうにか返す方法を考えねばならん」


 ホワイトボードを強く叩きながら、力強くそう言ったフュジさん。

 

「どうにか返すって言ったって、そんな大金……」


 そう呟きながら、顎を押さえてうなる。

 他の人たちも頭を押さえて考えていたが、突然メノンさんが立ち上がった。


「グラビア撮影だ!」

「却下」


 当たり前だ。

 渋々と酒を飲みながら椅子に座るメノンさん。


「しかし……いい方法が思いつきませんね」

「やっぱグラビア撮」

「却下だ」


 どれだけ撮影したいんだこの人。

 そうしていると、今度はプフェーアトさんが立ち上がった。


「他の星から住民を捕まえてきて、闇市に売り払うヒン!」

「お。候補の一つにしておくか」


 フュジさんがホワイトボードに箇条書きで書き込む。

 かなり前の話だが、オーロさんも金になると言っていた。それが今のところ一番いい案だろう。


「ふむ……随分昔だが、面白い話を聞いたことがある」


 突然、リティさんが机に手を置いて話し始めた。


「偶々入った宇宙の講座会か何かのときの話だ。超新星爆発が起きたとき、貴重な貴金属が生成されるとかなんとか……」

「あっ! それ、知ってる」


 ネギブアさんが、リティさんの言葉に声をあげた。

 咳払いをして、声の調子を整えながら立ち上がる。リティさんに代わって説明するようだ。


「超新星爆発っていうのが起きたとき、星の内部が文字通り『ぐしゃっ』と潰れるんだ。そのときにできるのが、金とかプラチナとかっていう希少な鉱石なのさ」


 知らなかった雑学、というか知識だ。思わず口から「へー」という声が出てしまう。

 フュジさんが顎を押さえながら考え、リティさんに問いかけた。


「リティ。今の金の相場知ってるか?」

「昔よりも金の総量は減っているが、需要は今なお高まっている。金はグラムで一万、プラチナは七千だな」


 フュジさんがマーカーペンを机に置く。

 まぁ、金がグラムで一万なのだ。価格の変動が起こるのを無視して単純計算すると、五キロ取れば弁償金が全て稼げる。こんなおいしい話は絶対にない。


「決定だな。明日、超新星爆発が起きそうな恒星に近づき、金を採取するぞ!」


 フュジさんはそう言うと、ホワイトボードの文字を消して退室した。


 しかし、爆発で起こした損害を、爆発で発生した金属で返済するのも不思議な気分だ。

 プフェーアトさんの後ろに続いて退室したとき、そう思った。

 

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