ep.4「城」
「これは…砦というよりかは、城ですね」
石でできた巨大な洋風の城。
城の周りを囲むように、城壁が立っている。
その城壁の上に、全身緑色のブ二ブニとしたスライムのようなものが大勢いた。
「変だね」
「こいつらはこんな城を建てれるほど文明が発展していなかったはずだけどな」
二回、乾いた炸裂音がする。
腰にかけた短めの剣を鞘ごと抜き、飛んできた何かを弾く。
班長はそれを掴んだらしい。手の中のものをじっと見ている。
「…昔の銃で使われた鋼鉄製の弾だな」
今の主流はレーザー銃だ。
鋼鉄製の弾を飛ばす銃となると、五世紀は昔のものになる。
弾の速度が遅いので、今はほぼ使われていない。
「班長、何発かは防げるけど連続で撃たれると厳しいです…」
速度が遅く、防げるとはいえ当たると普通に致命傷だ。
「ああ、大丈夫。そろそろプフェーアトが全員仕留めるから」
城壁の上のスライム達が、次々と銃を構え始める。
あれ、どうやって撃っているんだろうか。
数秒、数十秒経っても仕留められる気配が無い。
それどころか、銃弾の雨がこちらに降ってくる。
「ほ、本当に大丈夫ですか?!」
「あれ? おっかしいなー。ごめんごめん、僕が全員仕留めるよ」
班長が鞘から剣を抜こうとする。
瞬間、スライム達が城壁ごとバラバラになる。
ガラガラと城壁が全て崩れ、囲われていた城があらわになる。
「遅いぞー! プフェーアトー!」
班長が叫ぶ。
すると、遠くの方から「ブルヒヒーン!」という声が聞こえてきた。
「プフェーアトさんは一体何をやったんですか?」
そう言うと、班長は服のほつれた糸をちぎった。
そして、自分の剣を叩いてから、その糸を見せてくる。
「プフェーアトの武器さ。僕のこれと同じ、水樹製の奴。細くて棘が無数についた切れない糸を、機械の力で高速で引っ張ってるだけさ。速さが異常だけど」
糸をその辺に捨てる班長。
「班長のはどういう武器なんですか?」
そう言うと、班長は剣を鞘から抜いた。
「使うところを見ればわかるよ。さ、中に突入しよう」
囲われていた城の門を蹴破る。
城の中には、銃をこちらに構えたスライムが大量にいた。
おまけに、バリケードまで作っている。
「とりあえず逃げませんか?」
「いや、このまま直行。集まってくれたほうが殺しやすいし」
班長の剣が七つに分かれる。
六つの剣が空に舞い、もう一つは班長自身が持っている。
「下がっててもいいよ。戦うなら、とりあえず死なないように頑張って」