表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/146

ep.47「ダメな人たち」

「誰なのですー?」

「誰ですなのー?」


 双子の姉妹が声をあげた。

 酒を持った男は、こちらを指差しながら言った。


「おお、オーロと一緒にいた奴じゃねえか。どうだ、飲むか?」


 酒瓶をこちらに向けながらそういった男。

 確か遊郭で女性を大勢はべらしていた、第一チームのペラノ・メノンさんだ。

 

「いや、いいです。それより、今戦ってるんですよね?」

「んんぁ? そうだな。戦ってるってよりかは、じゃれてるって感じか?」


 自分の言った言葉に大笑いするメノンさん。近づかなくてもわかるほどアルコールの匂いを体から出している。

 双子の姉妹がメノンさんの言葉に頬を膨らませ、二人とも体に見合わないほど大きな鎌を構えた。


「もう怒ったのです!」

「もう怒ったですなの!」


 息がピッタリとあった動きで、こちらに向かってくる姉妹。

 その様子を眺めながら、メノンさんは頬を思い切り膨らました。

 右手に持った酒瓶を左手に移し、右手の親指と人差し指で小さな丸を作る。


「おーっとっと……。そう動くんじゃねえ」


 右手を顎のあたりに持って行き、姉妹が近づいた瞬間、口から燃え盛る炎を吐き出す。

 姉妹は棒高跳びのように、鎌を棒代わりにして炎を避け、空中からメノンさんに襲い掛かる。



「フハハハハッ! 我こそが王であり神であり最強である!」


 背後から大きな高笑いが聞こえた瞬間、黒い腕のようなものが伸びてくる。

 メノンさんに襲い掛かろうとしていた姉妹を掴み、そのまま地面に叩きつけた。


「我の名前は黒川(くろかわ) 龍一朗(りゅういちろう)! 貴様ら平民とは違う、高次元な生物なのだ!」


 振り返ると、背中から黒い腕を生やした、プフェーアトさんのバイクの後ろに乗っていたあの男が高笑いしながら立っていた。

 メノンさんは炎を吐くのをやめ、黒川という人物の方を見てゲラゲラと狂ったように笑っている。

 

「……君達、大変だね」

「そうなのです」

「そうですなの」


 立ち上がった双子の姉妹に心底同情する。

 この子達も防衛隊で、例のペンダントを首にかけているが、今騒いでいるこの二人よりはよっぽどまともだ。

 

「我は至高の存在である! とくと見よ! この美しさ、素晴らしさ、神々しさを!」


 黒川さんがまばゆい光に包まれ始める。

 光の中から出てきた黒川さんは、上半身が不自然にムキムキで、背中から翼を生やし、頭の上に輪っかが浮かんでいる天使のような見た目になった。

 正直言って、かなり気持ち悪い。


「ブハハハハッ! 黒川、なんだお前その格好!」


 メノンさんが地面に転がりながら大笑いしている。

 黒川さんはそんなメノンさんを見て、翼を使って空を飛びながら高笑いしている。

 この人たちはもうダメだ。

 

「君達、防衛隊だよね」

「そうなのです。クライン・プティなのです」

「クライン・ピッコラですなの」


 双子の姉妹と握手しながら、お互いの自己紹介を済ます。

 髪留めが青のほうが姉のプティで、髪留めが赤のほうが妹のピッコラらしい。見た目では全く見分けが付かない。


 クライン姉妹との会話は、ダメな人たちの笑いが終わるまで続いた。




改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ