ep.42「そういえば」
宴会の会場として選ばれた、水樹さんの家のカフェ。
第三チームだけの貸切になり、向こうの席ではフールが酒を一気に飲まされている。
隅の席で一人で本を読んでいる、英史に話しかける。
「なあ、この前の星でお前どこにいたんだ? 姿見かけなかったけど」
そう言うと、英史は読んでいた本に水色のしおりを挟んだ。
本を近くの机に置き、ニコリと気味の悪い笑顔を浮かべる。
「……僕にとってとても有意義な話をしていたのさ」
とても有意義な話?
「なんだ、その有意義な話って――」
「永宮クーン、全然飲んでないじゃないの!」
言葉を遮るように、水樹さんが肩を組んでくる。
顔を真っ赤に染め上げ、口から酒の匂いがプンプンとする。かなりできあがっている。
水樹さんを体から引き剥がそうとしていると、英史が本を持って立ち上がった。
そのままカフェの扉を開け、帰っていってしまった。
……結局何をしていたんだろうか。
「はーい! 一発芸しまーす!」
水樹さんが机の上に飛び乗った。
酒瓶を片手に持って高らかに宣言する。やばい、これはいつもの流れだ。
「わー! 水樹さん、自分の家ですよ?!」
水樹さんの手を掴んで止めようとするが、その努力も意味がなかった。
同じようにすっかりとできあがったオーロさんと班長とプフェーアトさん、おまけにフールのコールに応え、水樹さんの早着替えが炸裂した。
目にも留まらぬ速さで、水樹さんがマイクロビキニ姿になる。
カフェの中の喧騒で、英史の含みのある言い方など頭から吹っ飛んでしまった。
改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。