ep.38「再会」
「やっほぉ。テネーブル星以来かな?」
ロジーがポケットに手を突っ込みながら言った。
以前着ていた、ゆったりとした服ではなく、今回はとても動きやすそうな服をしている。体中に仕込んでいる鉄板も丸出しだ。
「君がペラペラと喋ってくれたおかげで、私の仲間が君の仲間のところへ向かっているんだぁ。それまでは、私が君の相手」
剣を引き抜き、喉をめがけてなぎ払う。それを、さも当然かのように右腕で受け止めるロジー。
互いにしばらく睨みあっていたが、突然ロジーが剣を弾いてしゃがんだ。
後ろから音も立てずに飛んでくる黒い円盤状のもの。振り返ると、ブーメランの様に手元に戻ってきた黒い円盤を受け止めた水樹さんの姿が見えた。
「私も居ることを忘れてないかしら、ヒュイド族のロジーさん?」
「もちろん忘れてなんかいないよぉ。けど、今回はこの子に興味があるんだ」
ロジーが指パッチンを鳴らした瞬間、フールの同族らしき岩人間達が壁の中から大量に現れる。
「……そういえばさっきからそこで固まってる奴は、洗脳できてないんだね。全員したと思ってたのに、おかしいなぁ」
「ロジー、お前が興味あるのはこっちだろ」
「あはぁ。それもそうだね」
かなりキツく言うようだが、フールでは絶対にロジーには勝てない。あいつの同族が全員あんな風になってるんだから、どうあがいても無理だ。
ロジーを煽って、標的を戻す。
「お前たチ……荒っぽくイクゾ!」
フールが、全身を岩で覆い始める。くっつけるというよりかは、体の中から生えているといった感じだ。
ロジーに視線を戻し、剣を両手で構える。
「私、君の臓物に興味あるんだぁ! ちょっとでいいから見せてくれないかなぁ!」
「見せるわけないだろ!」
ハイキックを左腕で受け止める。
逆袈裟に斬りあげるが、スレスレのところを宙返りで避けられる。
スナップを効かせながら、空中で回転しているロジーに向かって剣を投げつける。
飛んできた剣をかかとで弾きながら着地するロジー。走りながら、鞘に引き寄せた剣を受け止め、上から下に振り下ろす。
交差した腕で受け止められ、再度にらみ合う形になる。
「今日は顎を狙ってこなのか?!」
「じゃあお望みどおり狙ってあげるよぉ!」
剣が上に弾かれ、宙に舞う。それを見た後、地面に両手をつけ、倒立の状態になるロジー。
足を曲げて、バネのように勢いをつけながら両足を顎にめがけて解き放つ。
「挑発に乗りやすいんだなロジー!」
ロジーの両足の太もも辺りを右腕で掴み、壁に向かって投げる。
かなりの勢いだったため、ロジーの背中が衝突した瞬間壁にヒビが入った。
「いったぁーい! か弱い乙女に何するのぉ!?」
ロジーが回転しながら飛んできて、頭にかかと落としを決めてくる。
脳天から電流が走ったような痛みが全身に響く。
右足でロジーの体を蹴ってふっとばし、空から落ちてくる剣を受け止めた。
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