ep.33「新入り」
真っ先に目に付いたのは、白い天井。
左腕にチューブが繋がれ輸血されている。窓の外は緑の葉っぱで覆われ何も見えない。
ロジーに顎を粉砕されたときにも来た病院だ。相変わらずベッドが薄っぺらで安っぽい。
体を起こしたときに、オーロさんが部屋の中に入ってくる。
「少年、調子はどうだ~い?」
「良好ですよ。それより、頭収集家はどうなりました?」
そう言うと、オーロさんは後ろの扉を叩いた。
カララと引き戸式の扉が開く。
「こんにちは」
「なっ、お前!」
白い病院服を身にまとい、同じように左腕にチューブを繋いでいる頭収集家、士反 英史。
右腕を振りながらにこやかな笑顔で挨拶してくる。
飛びかかろうとするが、左の太ももの傷が痛んでうめき声をあげるだけに終わった。
「少年、落ち着くんだね~。紹介するよ、第三チームの新入り、士反 英史だね~」
「え?」
新入り?
「新入りって、本当ですか?」
「俺も驚いたけど、本当らしいね~」
英史が笑いながら話す。
「今まで地球だけしか探さなかったけど、僕の探すあの子は地球外にいるかもしれないだろう? ということで、よろしくね? 永・宮・先輩」
こんなおぞましい奴と一緒のチームになると思うと、少し憂鬱になる。
服に何を隠してるかわかったもんじゃない。
「こいつを警察に引き渡さないと、懸賞金的なアレが渡されないんじゃないですか?」
「ああ、ヴォランがそっくりの死体を作って送りつけたんだね~」
最初からそうすればよかったのでは?
そう思ったが、ぐっと心の中に押し留めた。
溜息をつき、窓の外に視線を向ける。
「明日には退院できるらしいから、それまで安静にするんだね~。殺人小僧、行くんだね~」
「はあ。その殺人小僧って言い方やめてくれませんか?」
そう言ったあと、二人分の足音が遠ざかっていくのが聞こえる。
扉が閉まる音が静かな部屋の中に響く。
静かな部屋の空気を胸いっぱいに吸う。
あの殺人鬼は絶対にろくなことをしない。帰った後の宴会も……水樹さんが怖いなぁ。
これからの不安を振り払うように、息を吐いた。
女性キャラを安易に登場させるなという善の心が生まれました。
改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。