表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/146

ep.16「圧倒的な恐怖」

「こんにちは、キル・テュエマタール。私はあなたが殺したヒュイド族族長の息子。ルマル・ジュスティスと申します」

「お前の名前に興味はない。殺す」


 班長が斬りかかる。

 ルマルという族長は、その剣を白刃取りで止めた。顔の数ミリ前で受け止めた剣をじーっと見て、余裕そうにニヤリと笑う。


「私を殺すですか。今ここで殺しあえばできるかもしれませんね。しかし、私達が殺しあっている時間の間にあの子は確実に死ぬでしょう」


 ルマルが剣を弾き、こちらを指差した。

 班長がこちらを見た後、目を閉じ、仕方なさそうに剣を収めた。

 

「…今すぐ僕の前から消え失せろ」

「わかりました。ルマル・ジュスティス。名前だけでもどうぞお覚えください」


 そう言った瞬間、ルマルは消えた。


「プフェーアト!」

「無理だヒン。一瞬で糸の包囲網が突破されたヒン」


 班長が叫んだ瞬間、プフェーアトさんが現れた。

 糸の包囲網という名前から察するに、何か逃げられてもいい手立てを打っていたのだろう。

 だがそれも突破されてしまった。


 ルマル・ジュスティス。今の俺が逆立ちしても傷一つ付けられそうにない、圧倒的な相手だ。

 ガタガタと震える体を押さえ、怯える心を必死に慰める。

 

「大丈夫だよ、少年~。族長相手に生きているだけでも大金星なんだね~」


 オーロさんが優しく背中をさすってくれる。

 その優しい動きにすらも恐怖を感じてしまうほど。

 あのルマルの圧倒的な圧力に、心の底から屈してしまったのだった。


「俺、俺……」


 そう呟いた瞬間、辺りを覆っていたルマルの圧倒的な圧力がかき消えた。この星から出たのだろうか、こちらに対する警戒を解いたのか、目に見えない不快感の塊がスッと消えたのだ。

 その瞬間、強張っていた体が一気に軽くなり、視界と共に意識がぼんやりと薄れていく。


 体が次第に傾いて行き、石製のゴツゴツとした地面に肩が触れた瞬間、ブツリと意識が途絶えた。

 



改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ