ep.13「嫌な予感」
「プフェーアトと永宮君のためにもう一度作戦を説明しようか」
班長が紙製の地図を机に敷く。
ホログラフィックは使わないようだ。
「僕、オーロ、永宮君、プフェーアトはラーヴ星の反逆者共が立てこもっている砦に四方向から攻め込む。水樹は砦の周りを警戒しておいてくれ」
「何で水樹さんは砦の周りを警戒するんですか?」
「万が一ヒュイド族がいた場合、地下通路でも使って逃げられたら面倒だからね。水樹に時間を稼いでもらって僕が殺しに行こう」
「…質問はもうないかい? じゃあ全員出発だ」
オーロさんが煙草の火を消してから真っ先に出て行った。
続いて班長、水樹さんと出て行く。
「ヒュイド族と遭遇した場合どうすればいいんでしょうか…」
「…ヒュイド族の戦闘員には、永宮はまだ絶対に勝てないヒン。もし会ってしまったら逃げることだけに集中するヒン」
プフェーアトさんと一緒に外へ出る。
砦は宇宙船から真っ直ぐ行ったところにある。
「緊張しなくても大丈夫だヒン。ブルヒヒン!」
心がざわつき心臓の音が大きくなる。
嫌な予感が拭いきれないが、プフェーアトさんが進む後ろについていった。
―――――
「全員準備できたか?」
班長の声が耳元のイヤホンから聞こえる。
「プフェーアト、準備バッチリだヒン!」
「水樹、こっちもいいわよ」
「オーロ、いつでもいけるね~」
他の人たちの声もイヤホンから聞こえてくる。
服の襟についているマイクに話しかける。
「永宮、準備完了しました」
「よし。全員作戦開始!」
班長の声が聞こえる。
それに続いて、プツッとマイクが切れる音が流れる。
同じようにマイクのスイッチを切って砦を見上げる。
「また砦というよりかは…城だ」
アクアード星と同じように砦とはとても言いがたい大きさの建物だ。というか城だ。
前回と同じように高くそびえ立つ城壁がある。
しかし、今回はプフェーアトさんが破壊してくれるわけではない。
「あの人たちなら城壁を飛び越えれるんだろうけど、そんなことできないしな」
ポケットから小さな筒状のものを取り出す。
見た目は茶色一色で、ところどころ汚れている。
骨董品店で見かけた全自動鉤爪というものらしい。
本当に使えるかは疑問だが、使えないならばロッククライミングするだけだ。
パシュッ、と軽い音を立ててワイヤーが城壁の上に向かって飛んでいく。
「おっ、使えた!」
ワイヤーの先についた爪が城壁に刺さる。
だが、想定外。
さすが全自動、憎むぞ全自動、とんでもない勢いで筒がワイヤーを巻き取り始める。
「ちょっと待て、待って!」
静止も機械相手には意味がない。
城壁の上を飛び越えるようにして吹っ飛ばされる。
顔面から地面に衝突し、熱いディープキスをする。
胸に感じた嫌な予感はこれのことだったのだろうか。
口の中のプフェーアトさんから渡されたボトルの水で洗い流した。
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