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ep.101「不死身の怪物」

 右手で剣を握りながら、低い建物が並ぶ市街地を走る。

 町並み自体は、建物の高さが地球より低いぐらいであまり大差はない。コンクリートのような見た目をした材質の四角いビルが、道の先まで並んでいる。

 生活感はそこらかしこに残っているが、肝心の住民は人っ子一人いない。


「……ふむ。」


 どこからともなく、小さく声が聞こえてくる。

 近くの建物の影から、金髪の髪を生やす中世的な顔つきをした男が出てきた。

 目を細めながらこちらを見ていて、右の手首を左手で優しくさすりながら言った。


「……私は、死ぬことがない」

「そんなこととっくの前から知ってますよ、リティさん……!」


 リティさんが自分の右手首を握り、無理やり腕を引きちぎった。

 ブチブチと嫌な音を鳴らしながら骨と筋肉が引きちぎれ、赤黒い血がボタボタと断面から垂れる。

 右腕を肩に乗せながら、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる。

 


「リティィィィイイイイイ!」


 後方から、獣の咆哮のような叫び声が響いてくる。

 一つに纏めた赤い髪を頭の後ろで暴れさせながら、リティさんの顔面に目掛けて飛び蹴りを決める。

 しかし、肩に乗せた腕で軽くいなされ、こっちに向かって吹っ飛ばされてしまう。

 剣を鞘にしまってからその体を受け止め、地面に降ろす。


「ギネブアか……」


「フハハハハハッ! 我も居るぞ、崇め奉るがよい!」

「ヒック……最初からリティかよ……」


 右腕に黒い包帯を巻いた黒川さんが、リティさんの声を掻き消すほど大きな高笑いをしながら近づいてきた。

 その隣には、いつもの酒瓶を持ちながらしゃっくりをするメノンさん。

 二人ともリティさんの方を鋭く睨み、呼吸で胸が膨らむことにすら警戒している。


「ふむ……私の相手に四人か。戦力を割きすぎではないか?」

「馬鹿言え。お前相手に四人は少ないんだよ」


 リティさんが深く息を吐くと同時に、新しい右腕が肩から生えてくる。

 鞘に納めた剣を再度抜きながら、四対一でにらみ合う。

 首の骨をだるそうにポキポキと鳴らしながら、自分の頚動脈を爪で素早く掻き切った。恐ろしい量の血しぶきが首から噴き出し、リティさんの体を余すことなく包み込む。


「お前ら、気合入れろ!」

「わかってますよメノンさん!」

「フハハハハハッ! 我は神だ、気合など常にボルテージマックスである!」

「リティ……」


 右手に持った剣を、未だ飛び散る血しぶきに向かって構えた。

 

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