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ep.99「ドラケニクス王星」

 すっかり寂しくなった宇宙船の中を眺める。

 第三チームが普段使う船の中には、もう俺とプフェーアトさんしか乗っていない。オーロさんの運転は、近くで見ていた俺が代わりに行っている。


「ドラケニクス王星……」


 聞いた話によると、ドラケニクス王星は地球と同じ文明レベルの星らしい。決定的に違うのが、生物学が地球よりも遥かに進んでいるということ。

 体を弄くって無理やり強化した兵士が、常に星中に駐在しているらしい。


『坊主、聞こえてるか?』

「ええ。バッチリ聞こえてますよ、フュジさん」


 運転席の無線から、フュジさんの声が響く。

 今回の作戦は、当然だが、侵略隊の全班が出動している。俺達の宇宙船のすぐ横にも、第二チームの船が飛んでいる。


『ドラケニクス王星が見えてきたぞ』

「わかってますよ。……なんだか、とんでもない見た目をしてますね」


 ドラケニクス王星。

 見た目自体は地球と同じような、青く美しい綺麗な星だ。しかし、その周りを覆っているものがおかしい。

 まるでドラゴンが羽の中で星を暖めているような、もやもやとした形の霧が星を覆っている。

 恒星の光で霧が白く輝き、神話に登場するような美しい白竜の形を生み出している。


『おいおい何二人で話してんだぁ?』

『うわっ。おいメノン、ワシらの回線に無理やり入ってくるな』


 メノンさんが回線の中に無理やり入ってくる。

 直に顔を合わせなくても、話し方でわかる。この人、相当酒を飲んでいるな。

 大事な作戦前だって言うのに……。


「なんでメノンさんは酒なんか飲んでるんですか?」

『……そりゃあ、まぁ。死ぬかもしれないしな。飲み納めだよ』

『なんだそりゃ。縁起の悪いことを言うもんじゃないぞ、メノン』


 そんな会話をしている間に、ドラケニクス王星がもう目と鼻の距離まで近づいている。

 普通なら攻撃でもされそうなものだが、そんな様子は全くない。誘き寄せられているのかもしれないが、行かないわけにもいかないのだ。


「それじゃ、着陸準備に入りましょうか」

『そうだな。……ワシも、この老体に鞭を打って頑張ろう』

『なぁにが老体だてめぇ。そこらへんの若者よりよっぽど化け物みたいな動きするじゃねえか』


 メノンさんはそう言った後、無線を切った。

 フュジさんは何か言い返そうとしたが、無線を切られてしまったため、少しだけ悔しそうな声をあげながら無線を切った。

 こちらも無線の電源を切り、着陸態勢に入る。


「……よし」


 頬を両手でパチンと叩き、気合を入れた。


 


 

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