ep.96「妖怪家族」
「リティさんとネギブアさんって、仲いいですよね」
隣で腕を組んでいるフュジさんに話しかける。
俺達の目の前で、リティさんとネギブアさんが絶賛じゃれあい中なのだ。あ、リティさんが吹き飛ばされた。
「まぁ、親子だからなぁ」
「親子?!」
顎を触りながらあっけからんと言い放つフュジさんに、大きな声で驚いてしまう。
いや、髪の色とか全然違うし…… リティさんは金髪でネギブアさんは赤髪だ。端整な顔立ちというところは共通しているが。
「ああみえて、リティはネギブアの親だぞ」
「親って……あの人何歳なんですか」
「確かワシと同じ、四十五だったはずだ。ネギブアが二十だし、そんぐらいだろ」
四十五?!
どうみたって二十代前半の見た目だ。肌も瑞々しさを保ち、十代後半と言っても通用するかもしれない。とてもではないが、四十五歳には見えない。
動きだって軽やかだし、そもそも性格が子どもっぽいし……。
「そんなので驚いてたら、リティの親でもっと驚くぞ」
「親?」
「ああ。リティは道端で拾われて育てられたらしい。ちなみにその親ってのが、ヴォランのことだ」
ヴォランさん?!
四十五を子どもで拾ったとして、軽く逆算すると……大体六十五前後あたりか。
いやいやいや。あの人もリティさん程ではないとはいえ、かなり若々しい見た目をしている。おかしい。
「……何かもう頭がついていけませんが、一つ聞いていいですか。ヴォランさんの年齢ってどのぐらいなんですか?」
「ワシも知らん。問い詰めたときに正確な年齢は上手くぼかされたが、百は行ってるとか言ってたな」
驚きを通り越して、逆に呆れ返る。ホラを吹かれたんじゃないだろうか。
もし、全てが本当だとしたら……侵略隊はおかしい。化け物ばかりじゃないか。
「若さの秘訣、でもあるんでしょうか……」
「案外、ヴォランの持ってる本が関係してるのかもな。なんて、冗談だ」
リティさんが暖炉の中に放り込まれた。
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