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幸子ちゃんの夢の怖い話

作者: もじ
掲載日:2018/06/19

「ねえねえ、幸子ちゃんの夢の怖い話しってる?」


夏休みを一ヶ月後に控えたある日、和也くんと太くん、由美ちゃんは怪談話をしていた。


「しってる!あれでしょ、バナナを用意しないと足を切られちゃうやつ!」


と、由美ちゃん。


「ええー、それ怖い。あたしの話はねー、この話を聞いちゃうとー、幸子ちゃんの世界に連れていかれちゃうってやつだよー」


なーんだと、由美ちゃん。

ふん、と鼻をならし、太くん。


「怖くねーよ。幸子の世界にいったって、現実世界とかわんねーよ!」


「あれー、太くんは怖くないんだ?強いねー」


「でも、たしかにそうかも。幸子ちゃんの世界でも学校にかようんだよね?」


太くんの言葉に、由美ちゃんもほっとした表情をしている。


ただ、和也くんだけが違和感を感じていたけど、弱虫とバカにされると思い、黙って聞いていた。


次の日。


太くんが学校を休んだ。


「太くん、幸子ちゃんの世界につれていかれちゃったのかなあ」


今にも泣き出しそうな、由美ちゃん。


「さあ?でも太くん強いから、また元気に通ってくると、あたしはしんじてるよー」


その話に、少し勇気付けられた由美ちゃんとは対照的に、和也くんは疑いの目を向ける。


「どうしたの?和也くんは、怖い?この話」


「べ、別に怖くねーし!」


和也くんは二人の前から立ち去る。

その間も、由美ちゃんは


「ねえねえ、ほんとに大丈夫かな?」


と詰め寄っていた。


また次の日。


太くんに続いて、由美ちゃんも学校を休んだ。

流石にたまらないと、和也くんは詰め寄る。


「おい!二人とも休んでるぞ、どうすんだよ!」


「うーん、幸子ちゃんの夢の怖い話をしたのはあたしだから謝るけどー」


「それじゃあ!どうすれば助かるのか、教えろ!」


「ちょっとー、痛いって。そうね、幸子ちゃんの世界から出てくるにはー、今自分が幸子ちゃんの世界にいるってきづかないといけないんだー」


「それじゃあ!叩き起こしてくるよ、太と由美を!」


駆け出す和也くんの後ろから、くすくすと笑い声が聞こえる。


「でも、幸子ちゃんってすごーくおこりっぽいからー、気を付けてね、和也くん」


そんな言葉は御構い無しに、和也くんは走り出した。

向かうは、太くんと由美ちゃんの家。


「太、由美、今助けに行ってやるからなー!」


学校から抜け出すのには勇気が行ったが、誰にも邪魔されずに太くんの元に辿り着いた。


太くんは布団に入って、眠っていた。

和也くんは力一杯、その体を揺さぶる。


「おい!太!起きろ!起きてくれよ!」


幸子ちゃんの世界に閉じ込められているであろう、太くんを連れ戻すべく、必死だった。


その甲斐あってか。


「う、うーん……」


「太!」


太くんが、気付いた。


「か、和也?」


「太ーっ!」


和也くんは太くんに、抱き着いた。

わからないでいる、太くんであったが。


「お、おまえ……」


「なんで、ここに……」


和也くんの言葉によって、状況を、飲み込んだ。


「あいつがいってた!目覚めれば、元の世界に戻れるって!」


「あいつ……」


和也くんは、必死に伝える。

太くんを元の世界に連れ帰る為に。


「それで、お前はどうした?」


「だから!学校から走って、太んちに来たんだろーが、わかんねーやつだな!」


和也くんが必死に経緯を伝えると、太くんは両手で顔を覆った。


「なにして、くれてんだよ……」


「ええ!?」


体を震わせる太くん。


「そいつは元の世界にはいないんだよ!俺と由美は帰ったんだ!元の世界に!」


そうだ。


和也くんは気付いた。

あの日、太くんと由美ちゃんと三人で、この幸子ちゃんの夢の怖い話をして。


三人とも、幸子ちゃんの世界に連れて行かれた。


つまり、

あいつが、

幸子。


ここは、幸子ちゃんの世界。


そう、和也くんは知らず知らずに、太くんを再び幸子ちゃんの世界に連れて来てしまったのです。


落胆する太くんを落ち付けようと、和也くんはあの子、幸子ちゃんに言われた事を思い出した。


「だ、大丈夫だ!あいつは自分が幸子ちゃんの世界にいるってきづけば、でられるっていってた!まだでられる!」


しかし、それは太くんも知っている事。

そして、太くんはその続きも知っている。


「お前は、知らないんだよ……元の世界にまだ帰ってねえから」


「元の世界に帰る時、聞こえたんだ……」
















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