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深夜の森で

作者: はにわ

”夜は怖いもの”


 私はそうは思わない。むしろ美しく面白いものですらあった。

そうあの事件が起こるまでは・・・。

 

 ある晩、私はいつものように夜の町を散歩していた。高校生になった私は非日常というものに憧れ、昼とは違った風景を見せてくれる夜の魅力に取りつかれこうして毎日深夜徘徊をしているのである。その舞台であるところのこの町はとんだ田舎町で近くのコンビニまで徒歩30分といった具合である当然繁華街などなく夜の8時にもなれば誰ひとりとして外には出歩かない。夜の町には私ただ一人が古臭いオレンジ色の街灯のわずかな光に照らされている。

そういうところが気に入っているのである。

 毎日気まぐれで町のさまざまなところを巡っていが今日は郊外の森林公園にやってきた。ここは昔鬼がいて通りかかるものを食っていたという伝説がある。

「もしかしたらまだ白骨が眠っているかも」

と友人が脅してきたこともあったがだとしても鬼はお偉い法師様とやらに退治され犠牲者を奉るお社も建てられているのだ。

「幽霊なんてばかばかしい。」

今更そんなことを気にするもむなしく。止まりかかった歩みを再び進める。


 「ん?」

妙な声がかすかに聞こえるいや聞こえるというよりは頭に響いてくるようなはっとして周りを見るといつの間にかお社の近くに来ていたさてそろそろ戻ろうと振り返ると道のわきに赤い人影が見えたような気がした。

これはいよいよB級ホラーのにおいがしてきた。

まずいな夏なのに足元が空気の冷たさに震えている。

こんな時振り返らなければいいものをなぜか振り返りたくなるのが人の性かな。森の出口に近づいたところで後方確認

だが人影はなくホッと一息。再び帰路につくべく正面を向く。


「ナカマニイレテ。」


赤い人は片言でそういったのだった。



 後日談とかそういう話であの人はロシア人ではないかと結論づけたのだった。昔北のほうから流れてきたロシア人がその赤っぽい肌や当時としては日本人よりはるかに大きいその長身から鬼とされたという俗説もあることそういう結論に至った。あの人には当然角なんかもなかったしね。


 あの日が丁度お盆だったのもあって化けて出たんだろう。おそらく退治した法師様は鬼もといロシア人の供養まではしていなかったのであろう。

 その後町の寺の和尚さんにたのんで供養してもらい一件落着である。

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