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近現代史

作者: 相口夏来

 最近になって、新幹線が見直され始めた。


 教科書で見たあの鼻の丸い新幹線第一号の初走行から、百何十年も経った今になって。



 クラスまで見に行った奴がいるというが、その博物館が関東にあるため、そいつはリニアで行ったという。よくできた笑い話だ。


 時速100kmとか200kmとかで大喜びしていた時代を、なぜああも有り難がるのだろう。

 線路の上をそんなスピードで走って、事故が起こらなかったなんて奇跡だ。

 今よりも地震が少なかったからそんな事ができたのだろう。


 そのクラスメイトはともかくとして、世間が新幹線に再び注目している。



 授業で題材として取り上げられた時には、フォルムが可愛らしいと友達が騒いでいた。

 さして可愛いとも思えない。その写真も色褪せていて、どこか実感が湧かなかったのかもしれないけど。


 むしろあんな色を見せられると、朝鮮特需とか高度経済成長とかバブル崩壊とかリーマン・ショックとか、いちいち経済の乱高下に左右されていた日本の国力のなさを思い出す。



 あの頃は、好景気を知らずに死んでいった祖先がいたというんだからびっくりした。

 日本史の先生のおじいちゃんもそうだったらしい。


 確かに、原発事故が収束するまでは経済も良くならなかっただろう。

 仙台オリンピックが始まらなければ、今の好景気も始まっていなかっただろうし。



 とはいえ、金の使い方がおかしかった。というか、昔の日本人は何かおかしかったように見える。

 微妙に高いビルを立てまくったり、扇子を持って踊り狂ったり、そんな事を何度も繰り返した。


 そういえば現代文の先生は、それと当時の流行語をリンクさせていた。

「とんでもない言葉が流行っていた頃は、やっぱり国はとんでもない事になっていたんだよ」


 そうして例に出してきたのが「ナウい」だった。何年の流行語かは、テストが終わったら忘れてしまった。

 初めて聞いた時に、もう顔から火が出そうだった。自分の事ではないのに。



 そんな気持ち悪い時代に持て囃されて「夢の超特急」を持て囃すなんて。

 また景気が悪くなってきたのかな。

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