6.浴場にて誘われる男
6話に来てくれてありがとうございます!
夜。グラヴィアの公衆浴場。
俺は誰もいない広い浴場で、ぬるめの湯に身を沈め一日の疲れを癒していた。湯気がゆらゆらと立ち昇り、心地よい静寂が包み込む。
「お疲れ様」
突然、場違いなほど透き通った声が響いた。
驚いて顔を上げると、湯気の向こうから裸のゼリアが微笑みながら歩いてくるではないか。俺は即座に目をそらし、湯に深く沈み込む。
「ゼ、ゼリア様!? ここは……!」
「大丈夫、誰もいませんよ」
まるで当然のように言いながら、ゼリアは俺のすぐそばへと身を沈める。ちゃぽんと水音が静かに響く。俺はゆっくりとゼリアに背を向ける。
「またひとつ、王国の悪を潰すことができました」
「はい。ゼリア様の行動で民がまた幸せになりました」
「ですが…今回も手掛かりは見つかりませんでしたね。あなたの呪いを解く魔具・古竜のクリスタル」
「仕方ありません。また次を調べるだけです」
俺は水面を見つめながら、静かに答える。
「気を落とさないで」
そう囁くと同時に、ゼリアの温かな手のひらが俺の背中に触れた。さらに頬が寄せられ、豊かな乳房までぴたりと密着してくる。
「いつか必ず。私があなたを助けてあげます」
「ありがとうございます」
俺は短く礼を述べるとゼリアは柔らかく微笑んだ。
「それはそれとして…私、今回すごく頑張ったと思うのです」
「ええ、それは確かに……」
「ならばご褒美をいただいてもよいのでは?ライネル、こちらを向いてください」
俺が首をひねると、ゼリアは俺の顔を両手で包み込み、そのまま唇を重ねた。
柔らかく、ゆっくりとしたキス。湯気の中で、時間がゆるやかに流れる。
唇が離れた瞬間、ゼリアはわずかに頬を染め、潤んだ瞳で俺を見つめた。
「まだ足りないと思うのですが、どうお思いですか?」
「こ、今回はこれで十分でしょう! 失礼します!」
俺は慌てて湯から飛び出し、浴室を後にした。
「浴場を狙うのはルール違反だろ……!」
そう毒づきながら、脱衣所で急いで着替えようとした瞬間、鋭い気配が背後に迫る。
「姫様に欲情したか?」
喉元にひやりとした刃が添えられる。ヒルダだった。
「いやいやいや! 全くそんなことは!」
俺は下着姿のまま、必死に否定する。「ゼリア様が勝手に入ってきて強制的に…されたんだ。力ずくで拒否できるわけないだろう!」
ヒルダはしばらく俺を値踏みするように睨んだ後、おもむろに俺の股間手を伸ばし、俺の陰茎をぎゅっと握った。
「……ふん。その言葉に嘘はないようだな」
匕首を引くと、彼女は一歩引いて腕を組む。
「いいか、姫様の貞操にもしものことがあれば、私はためらいなくお前を殺す。そうならないために……もしどうしても我慢できなくなったら私に言え。なんとかしてやろう。」
最後の一言だけ、彼女の頬がわずかに赤く染まる。
「忘れるなよ」と言い残すと、ヒルダは風のように姿を消した。
俺は肩を落とし、深くため息をつく。
「早死にしそう……」




