③ 珠子のオーラ
彩子たちの通うS高校の1、2年生は、新学年のスタートに当たって学年別に合宿を行う。
青少年向けの宿泊施設を利用した2泊3日の行事だ。
4月下旬の火曜日、S高校2年生はクラスごとに計8台のバスを連ねて出発した。
車内のマイクを担任の南田が握った。
「みんな、張り切っていこう。スタートの月曜から天気に恵まれてさい先がいいぞ」
一人の男子生徒が誤りを指摘した。
「先生、今日は火曜日!」
「え? 今日は火曜なのかよう?」
彩子は気が重くなった。
担任のダジャレ以外にも憂鬱になる理由があるのだ。
これから向かう青少年スポーツ施設には中学生の時にも来たことがある。
彩子はその時に忘れられない出来事を体験したのだった。
1時間ほどでバスは到着し、昼食後、全員ジャージに着替えて集合した。
最初のプログラムは、宿泊施設のある山の頂上まで往復3時間のハイキングだ。
ところが、下山途中から降りだした雨にうたれ、彩子は体調を崩して寝込んだ。
翌朝は40度を超える熱のために起き上がることさえできず、珠子が看病を買って出た。
修も心配になって部屋を覗いたが、珠子が彩子の額をさすっているのを見て絶句した。
珠子の頭上に金色のオーラが放射状に立ち上っていた。
教師たちは朝食後の職員ミーティングで、保護者を呼び寄せて彩子を帰宅させる相談をしていた。
するとその場へ珠子と一緒に彩子がけろりとした顔で現れた。
「もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」




