表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/51

幕間 〜エミリールの独り言〜

 私の名はエミリール。偉大なる三英雄が1人、モーリスの孫娘にして、容姿端麗、頭脳明晰なハイエルフ。とあることから運命の悪魔(ひと)、タナトスと出会って、今ここにいる。さっき、彼と一緒に女神様の下を訪ねたの。帰り際、女神様は私に祝福の魔法をかけてくれた。


「くっ! 女神の私の力を持ってしても、ラックが全然マイナス圏から回復しない! 己の力不足を感じます……」


 なぜか落ち込む女神様に、彼がやさしく語り掛ける。


「フロラ様のせいじゃありません! このエルフが規格外なだけですから。おかげで、オレと2人でいればプラテンしたんだし、これでもずいぶんマシになりました。ありがとうございます!」


 彼はいつだって、誰にでもやさしい。本当は私にだけやさしければいいのにと思う。実際には、私にだけ当たりが強い気もするのだけれど。

 (ほこら)を出ると、彼はエムエルとメグミーヌの3人で何やら相談をしていた。そのあと、なぜだかくじ引き抜きで豪華馬車に私を乗せてくれた。


「エミリール……。あなた、良くここまで生き抜いてきたわね。大丈夫! これからは私があなたを守るから!」

「私も、さっきはキツイ言い方して悪かったわ……。ほら、冷凍みかんあげるから元気だして!」


 突然手のひらを返したように、エムエルとメグミーヌが、私にやさしくしてくれる。真正サディストの2人が態度を急変させるなんて、女神様の加護のおかげかしら。でも、なんだかんだで、本当は優しい人達なんだろうと思う。ツンデレするのはやめて、もっと早く素直になれば良かったのに。


「エミリール君。とりあえず、しばらくはオレのそばをなるべく離れるなよ。死にたくないならな!」


 どうしてか、私と一緒に馬車くじ引きを免除された彼が、真剣なまなざしで語りかける。自分の頬が赤く染まるのを感じる。ほとんど、プロポーズよね、これ。まぁ、一応鹿男夫人ではある私だけど、本当の妻になる日も、そこまで来てる気がする。そうよ、おとぎ話のお姫様も最初は苦労したけれど、それはハッピーエンドへのスパイスに過ぎない。私のプリンセス・ストーリーは今始まったばかり。さぁ、高貴なる私に相応(ふさわ)しい高級リゾート、エーデル・ヴァレイが両手を広げて待っている!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ