紫乃の官能小説 私は愛①
愛自身が語ってくれた
経験からの長編官能小説
《 platonic love 》
「おはようございます」
慌てて挨拶をしながら
出勤時間ギリギリに
事務所に着くと
男性スタッフのYが
何台も電話機が並ぶ
デスクに凭れながら
私に視線を向けて
数秒 そのまま
見つめ続けてから
「愛さん…」と
私を呼びました
『愛』は勿論
私の本名ではありません
「いつもの
サトウさん
今日も120分コース」
そう言いながらYは
私から 視線を外さず
掌に収まる程の
小さなメモを
渡してきました
いつも通りメモには
ホテル名と 部屋番号
コース時間と 料金
お客さんの名前が
Yの手書きの
小さな字で書かれています
「ありがとうございます」
それだけ言って
事務所のロッカーに
自分のバッグをしまい
代わりに
衛生用品と アダルトグッズが
入ってるバッグを取り出し
Yに会釈して
事務所を出ようとすると
Yは 扉の前に立ち
まるで私が
外に出るのを 防ぐようにして
「気をつけて…
行ってらっしゃい」と
言ってくれました
サトウさんというお客さんは
いつも指名して下さって
何十回も接客してるのに
全然 顔が思い浮かびません
思い浮かぶのはYの
切な気な目をした顔だけです
掌に収まる程の
メモを確認して
ホテルの部屋の
インターホンを押すと
サトウさんが笑顔で
ドアを開けてくれました
あぁ… サトウさんは
こんな顔をした人だった と
ぼんやり思いながら
私も 無理に笑顔を作り
「いつも ご指名
ありがとうございます」と
挨拶をしました
サトウさんは
「先週 会ったばかりなのに
愛ちゃんに凄く
会いたかったよ」と
言いながら
私を抱きしめてきました
反射的に 私も
愛し気を装い
抱きしめかえしながら
「私もです」と
感情を込めるように
意識しながら応えます
靴を脱ぎ揃えて 部屋に入り
サトウさんに
少し待って頂くように声をかけ
事務所に 入室コールをします
電話の向こうのYに
「今 入りました」と
伝えると
ほんの一瞬 間が空いて
「解りました」
苛立ちを含んだYの声が
返事をします
嫉妬しているかのような
Yの表情を想像すると
自然に 下腹の奥が疼き
少しずつ性器が濡れてきます
サトウさんから
コース料金を受け取って
洗面所で
私が用意したイソジンで
サトウさんと一緒に
うがいをします
それから浴室に行くと
サトウさんは キスをしてきて
服の上から
私の乳房を 左手で揉みながら
右手は スカートの中の
脚の間に触れて
「何だ… 愛ちゃん
もう濡れてるじゃないか
下着の上からでも解るよ
本当にやらしい体だな…」と
興奮した顔をして言います
私は 心の中で目を瞑り
Yを思い浮かべながら
「シャワー
浴びましょう」と
言うと サトウさんは
私に触れていた手を離し
私の服を脱がせ始めます
私も サトウさんの服を
脱がせると ボクサーパンツの
前が 窮屈そうに膨らみきって
その膨らみの上部は
濡れた液が染みて
布の色が濃くなっています
私も黒のブラジャーと
Tバックパンティーだけの
姿になっていて
もし Yが私の服を脱がして
下着だけになったら
サトウさんみたいに
膨らんだ先から
染み出た液で濡れるだろうかと
考えながら
サトウさんの
ボクサーパンツを脱がせて
私もブラジャーと
パンティーをサトウさんに
脱がされて
2人でシャワーを浴びます
シャワーの湯温を確認しながら
サトウさんの体に
シャワーのお湯をかけます
私自身もお湯を浴びて
お湯を出しっ放しにしたまま
シャワーヘッドを
フックにかけて
ボディーソープを
掌で泡立てていると
「愛ちゃん、いつもみたいに
洗いっこしようね」と
サトウさんは
浮かれたような声で
言いました……
心の中で
更に強くギュッと目を瞑り……
Yが、
「今日は俺が
愛を洗ってやるよ」と言う。
私の手から泡を取り、
私の体に塗りつけて、
筋肉質の逞しい腕で、
体中を撫でて洗ってくれて、
抱きしめるようにしながら、
体を擦りつけてくる。
私の首の後ろに、
泡がついたままの手を添えて、
引き寄せてキスをする。
唇が優しく触れて、
私の唇の感触を楽しむように、
上唇を柔らかく噛み、
下唇を噛み、
急に荒々しく、
舌を捩じ込んでくるから、
「あ… んぅ…」
私は思わず声を漏らす。
Yの舌が 私の上顎を、
舐めて擦り、
音を立てて舌を絡ませてくる。
私はそれだけで、
腰の力がぬけてしまいそう。
Yは
「キスだけで もう
そんなになってるのか」
少し笑いながら、
私の乳房を両手で、
円を描くように揉みしだき、
親指と人差し指で、
乳首を摘まみながら捻り、
転がしたり、
押し潰すようにして弄るから、
私は快感の声をあげ続け、
息が乱れきってしまう。
私も乱れた息づかいのまま、
Yの硬く勃起したペニスを、
右手で握り しごきながら、
左の掌で睾丸を、
そっと包むように撫でる。
ペニスを握っていた手の、
親指と人差し指で輪を作り、
カリを小刻みに擦ると Yは
「気持ちいい…
愛も気持ち良くしてやるよ」と
私の両脚の付け根の間に、
手を伸ばして、
クリトリスを触る。
中指の先で、
クリトリスを擦られて、
「あぁーっ…
そこ ダメ!」
私の叫び声が浴室内に響き、
Yは、
「ここ…
好きだろ?…」と
指の動きを早くするから、
イッてしまいそうになる。
Yの血管が浮き出たペニスの、
先の孔から床に垂れそうな程、
透明の液が糸を引いていて、
私はたまらず、
脚の間にそのペニスを挟み、
前後に腰を動かして、
クリトリスに当てながら、
濡れきった性器で、
Yのペニスを愛撫する。
「愛ちゃーん…
挿れたくなっちゃうよー…」
突然 現実のサトウさんの声が
聞こえて 我に返ります
「でも それは…」
「あぁ、解ってる!解ってる!
本番ダメなのは
最初から知ってるから」と
サトウさんは 軽快な口調で
言いました
悪い人ではないのです
「ベッドに行きますか?」と
私が尋ねると サトウさんは
「そうしよう
いっぱいイかせてあげるね」
そう言うので
サトウさんと 私の体の
ボディーソープの泡を
シャワーで洗い流し
先にバスタオルで
サトウさんの体を拭いて
次に自分の体を
手早く拭きました
洗面台の鏡の前で
軽く髪を梳かしていると
サトウさんが後ろから
私の体に
腕を巻きつけてきて
私の乳房を揉み
指先で 乳首を弾くように
弄ってきます
そして私の右膝の裏に
手を添えて
そのまま 洗面台に
私の右足を乗せます
左手は 私の左の乳房に
触れたまま
右手で 私の右脚を開かされ
「愛ちゃんのマンコ
丸見えだよ…
エロいね
自分で見てごらん」と
私の耳許で言い
舌を出して耳を舐められます……
私は再び 心の中で目を瞑り……
鏡の前でYが私の脚を開かせて、
私の乳首と クリトリスを、
緩やかに 激しく 繰り返し、
撫でて、
擦って、
押し潰し、
弄り続けるから、
「あぁん… ねぇ…
もう本当に…ダメ…
欲しくなっちゃう…」と
おねだりしてしまう。
Yは鏡の前で悶える私を見て、
「愛は可愛いな…
素直な体で…
どこも全部 感じやすいね」と
言ってくれる。
「気持ちいいからか?
それとも 恥ずかしくて…
興奮してるの?」
Yは鏡に写る私の性器の、
ひだを広げて、
「綺麗な赤い色になってるよ」
そう言いながら、
Yの呼吸も荒くなっていて。
そのまま抱きかかえながら、
ベッドに運ばれて、
組敷かれ またキスをする。
私の舌を追い回すように、
Yの舌が動き、
互いに吸い合い、
唇から離れたYの舌は、
私の耳を舐め、
首を這い、
左の乳首を指に挟み、
乳房を揉みながら
右の乳首を舌先で転がして、
乳輪ごと唇に含み、
チュッと音を立てて吸いつき、
私は唯々 淫らな声をあげる。
Yの舌が右の乳首から離れ、
下腹部に向かって這い、
そして両手で私の両脚を、
大きく広げさせて、
チロチロと小刻みに、
舌先を震わせながら、
クリトリスを舐める。
「そこ… あぁん… 好き…」
私が悦ぶ声に、
「愛は全部 好きだろ?
こっちも…」と
Yは腟の中に舌を差し入れ、
どうしようもなく溢れる、
愛液をジュルジュルと、
音を立てながら舐め取る。
その音に昂り、
我慢できなくなり、
「あぁん… ねぇ… もう…
お願い…」
懇願すると Yは中指と薬指を
私の性器の中に深く埋めた。
「あぁーっ…」
あまりに強い快感に、
腰が浮き、
Yは2本の指を出し入れして、
「イく時は ちゃんと
イくって言いな…」
指の動きを早めていく。
僅かに曲げた指先が、
ちょうど、
一番 気持ちいい所を擦り、
擦り続けられて、
擦り続けられて、
「あぁ!… ぅんーっ…」
喘ぎ声をあげ続ける私。
強い快感に 潮を吹いてしまい、
Yの指が 激しく、
出し入れしてる腟内は まるで、
川面を小魚達が跳ねてるような、
淫靡な水音が響いている。
指の動きが、
掻き回すように変わり、
掻き回されて、
掻き回されて、
「私…もうイきそう!
ダメ… イく… イっちゃう!
ああぁ!… イくぅー!!」
脳を突き抜けるような快感。
仰け反る背中。
破けそうな程シーツを掴んで。
早い呼吸に合わさる、
性器の収縮と弛緩。
「気持ちよかったか?」
私の愛液で濡れた指を、
舐めながら Yは私に言う。
まだ整わない呼吸で、
私はうなずき、
自分の指を舐めるYを見て、
愛しさが 込み上げる。
Yを引き寄せてキスをして、
軽く肩を押し、
仰向けに寝るように促す。
私がYに跨がるように乗り、
Yの唇を舐め 舌を差し入れ、
絡ませる。
唇を離し 首を舐めながら、
先端がヌルヌルになっている、
硬いペニスに触れて、
握り 上下にしごくと、
Yは快感の声を漏らす。
唇でペニスを愛撫してから、
舌を平たく広げて、
左右の睾丸を交互に舐めると、
「愛… 気持ちいいよ…」と
荒い呼吸をしながらYが言う。
Yにうつ伏せになってもらい、
引き締まった尻の、
綺麗な筋肉に見惚れながら、
両手でそっと 尻を広げる。
アナルの周りに舌を這わせ、
中心を くすぐるように舐めると、
低い声でYが喘ぐ。
舌先に力を入れて尖らせて、
唾液だらけになったアナルに、
差し入れる。
「あぁ… 愛… もういいよ」
Yが体を起こして、
私を抱きしめてくれるけど、
そっと 胸を押して体を離し、
脈打つのが見て解る程に、
硬くなったペニスを口に含む。
カリに ぴったり沿うように、
口を丸く開けて 軽く首を捻り、
唇だけで愛撫する。
先端の孔を 舌先でそっと突つき、
裏筋を 下から上へ舐め上げる。
Yは私の名前を、
「愛… 愛… あぁ…愛…」
何回も呼んでくれる。
ペニスを根元まで口に入れ、
舐めて しゃぶると、
突然Yは私の頭を両手で押さえ、
自ら腰を大きく前後に動かし、
私の髪を鷲掴みにして、
頭を揺らされ 激しく、
ペニスを出し入れし始める。
私の喉から苦し気な音が鳴り、
その音で、
私がイラマは苦手なのを、
思い出したのか、
慌てた様子で、
鷲掴みにしてた髪から手を離し、
優しく頭を撫でてくれる。
「ごめん…
何か急に…
愛を犯したくなった
めちゃくちゃにして…
俺だけのものにしたくなった
苦しかったな?…ごめん 」と
謝ってくれるから、
私は “ 大丈夫 ”という意味で、
首を横に振る。
Yの気持ちが嬉しくて、
またキスをする。
抱きしめ合ってキスをする。
Yのペニスを握りながら。
握っていたペニスを、
また口に入れ 根元まで含む。
右手で根元を支え、
左手で睾丸を撫でながら、
濡れた肌が擦れ合う音を立て、
しゃぶり 舐め上げる。
Yの呼吸が荒くなり、
時々 低い快感の声が出て、
私はそのまま、
手は使わずに口だけで舐める。
喉の奥を締め 両頬を窪ませ、
舐めて 舐めて 舐め上げて、
舐めて 舐めて 舐め上げる。
唾液が顎から首に伝い、
吸って 吸って 吸い上げて、
吸って 吸って 吸い上げる。
ジュボジュボと音を立てて、
頭を上下に振り続け、
しゃぶって しゃぶって、
しゃぶって しゃぶり上げて。
「愛… もう…出る
イく… イく… うっ イく!」
Yが口の中に射精する。
頭を振るのを止めると、
Yの激しい息づかいが聞こえ、
喉奥は まだ締めたまま、
私の舌は、
ペニスの中を精液が、
流れ動くのを感じ取る。
射精が完全に終わると、
口からペニスを離し、
顔を上向けて、
多量に放出された精液を、
飲み下そうとして、
「ハァ… ハァ… 愛ちゃん…
すげぇ 気持ち良かったよ…」
サトウさんの
力が抜けた声が聞こえ
慌ててティッシュを取ります
急に口の中の精液の
味と匂いに吐き気がして
それに気付かれないように
サトウさんから
少し顔を背けて
ティッシュに
精液を吐き出します
ベッドの上で
仰向けに寝たままの
サトウさんの 硬さを失った
ペニスが目に映り
もしYだったら
精液と 私の唾液まみれの
ペニスを舐めて
綺麗にしてあげるのに…と
考えていると
ベッドの枕元の
電話が鳴りました
サービス時間終了10分前を
告げる 事務所からの電話です
受話器を取ると
また 数秒の間が空き
「お時間10分前です」と
言うYに
「はい 解りました」
返事をすると
直ぐ 電話は切れました
急いでシャワーを浴び
メイクを直し
サトウさんに挨拶をします
「今日も
ありがとうございました」
するとサトウさんは
裸のまま 私に抱きつき
「愛ちゃんと別れるの
寂しいよ
でも また来週ね」と
笑顔で言うので
私も笑顔を作り
「宜しくお願いします」
棒読みにならないように
気をつけて言います
部屋を出る前に
退室コールをします
事務所に電話をかけて
「今 出ます」と
電話の向こうのYに言うと
今度は間を置かず
「お疲れ様です」
落ち着いた声が応えます
ホテルから 徒歩2~3分程の
事務所に戻ると
Yが扉の外で待っていて
「お疲れ様
大丈夫だった?」と
尋ねるので
「はい 何も問題なく
いつも通りです」と
答えると
安堵の表情になります
毎回 私が接客から帰ると
Yは 大丈夫か?と言うのです
事務所の中で
サトウさんから受け取った
料金をYに渡すと
その金額の確認をしてから
2/3を私に戻してくれます
その間もYは 私の顔を
見つめていて
手渡されたお金を貰う時に
指が触れそうになり
お互い 慌てて
手を引っ込めます
Yの目が
発情期の獣のように光り
同時に 哀し気で
私も 何だか哀しくなり
ふと
窓ガラスに映る
自分の顔が見えて
今にも泣き出しそうな
そんな 目をしていました
つづく