表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/25

僅かなひと時を

 美波が奴隷商に攫われてから一週間が経った。

 事態の変化は緩やかで、まだ行動を起こして………。


『間も無く奴隷商日本支部への突入作戦を開始する。一人残らず捕まえろ!』

「「「「「おおおおおおお!!」」」」」

『うるせええええええ!!気付かれるだろうがああああ!!』

「「「「「…………はい」」」」」


 行動を起こしていた。現在進行形で。

 この様になったのには理由がある。

 

 事は2日前––––。


「明日の朝、奴隷商への突入作戦を開始します」

「……は?」


 思わず出た疑問の言葉。

 いきなり過ぎて脳が全然追いつかないんだが……。

 俺はとりあえず、紅羽の話を聞くことにした。


「時間は明日の3時半。場所は羽田空港から徒歩10分程度で着く廃墟の地下です」

「……随分と事細やかに言ってくれるな。何か意図でも?」


 思わず聞いた質問に紅羽は「いえ……」と否定の言葉をあげる。

 じゃあ、何で俺にこんな情報を開示したんだよ。


「……意図はありませんが、要求ならあります」

「要求……?」


 思わず紅羽の言ったことを反芻する。


「ええ。というか、命令と言った方がいいかもしれません」


 紅羽はため息を一つつくと、それを口にした。


「明日の突入作戦、廉先輩にも同行して頂きます」

「……は?」


 いや、なんでだよ。

 俺が行っても一ミリも戦力にならないだろ。


「……一応聞くが、何で?」

「さあ?上からの命令なので、私にはさっぱりわかりません……って、『うわぁ、コイツ使えね〜』みたいな目で私を見るのやめて下さい!」


 ーーーーーーーーーと、いう訳で、こうしている訳だ。

 …………うん、自分でも訳が分かんない。


「廉先輩、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。紅羽は随分と落ち着いてるな」

「踏んでる場数が違いますからね」


 えっへん!という擬音語が似合うくらいのドヤ顔をこちらに向けてくる紅羽。

 今回の作戦において、紅羽が俺の護衛をしてくれるということらしい。

 実にありがたい事だが、女性、それも年下の子に守られる男って……。

 尊厳が無い様な気がする……。

 ちなみに、雛は別の班なのだそうな。

 上の方に「廉君と一緒の班がいい〜!」と駄々をこねた様だが、最後まで可決されなかった。

 聞いてるこっちが恥ずかしかったです……。ホント、ウチの子がスミマセンっ!

 心の中で謝罪をしていると、耳につけているインカムからザザッと音が入る。


『間も無く突入する。F班、そちらはどうだ』

「こちらF班。いつでも実行可能です」


 インカムから発せられた声に紅羽が応答する。

 おお、カッけえ……!

 と、俺の目線に気付いた紅羽はフンっと鼻を鳴らす。……こういう所が残念なんだよなぁ。

 それからしばらく待っていると、途中で紅羽が話しかけてきた。


「そういえばずっと気になってたんですけど、廉先輩が背負ってるそれ、何ですか?」


 紅羽がそれと指差したのは、俺が背負っている、布で覆われた細長い物体だった。


「ああ、これ?この中は木刀だよ。ウチに沢山あるから、一本借りてきた」

「ふぅん……。ちなみに折ったら?」

「弁償五万円」

「高っ!」

「冗談だよ……」


 冗談だと言ったものの、紅羽は俺の木刀を見るたびにビクビクしてる。

 大丈夫だから。折っても弁償させないから。


『突入開始のカウントダウンをする!全員、配置に付け!』


 そんな茶番を繰り広げていると、インカムから間も無く突入するときた。

 さて、緊張ほぐしもここまでだな。


「カウントダウン開始。5……、4……、3……、2……、1……」


 俺と紅羽は互いに顔を見つめ合って頷く。

 美波、必ず助けてやるからな。


『突入開始!』

「おおおおおおおおおおおお!!」


 こうして、奴隷商への突入作戦が開始された。

異能力者

ーーーー脳内に埋め込まれたチップで高速演算を行い、あらゆる事象を可能にする。

    異能の種類によっては、天変地異を引き起こすものもあったりする。

    チップがどの様に脳に埋め込まれるのかは不明。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ