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天雷を穿つ

 時は昨夜に遡りーー。


「人格を一つに?」

『ええ』


 俺の反芻の言葉にクラーは肯定を口にする。


『私は存在そのものが異能力です。名を与えられて存在はかなり安定しましたが、まだ完全とはいきません』

「それと人格統一とどう関係してくるんだ?」

『廉と一つになれば、私は肉体を持っているという扱いとなり、存在は強固なものとなるんです』

「ふむ……」


 なるほど。

 つまりクラーは幽霊的な存在で、肉体を得て、進化を果たす的なことか。

 正直不安しかないが、クラーの頼みとなると首を簡単に横へ振ることが出来ない。

 ……まあ、俺にもメリットはありそうだし、いいか。


「分かったよ。人格統一、してやるよ」

『ありがとうございます!廉、大好きです!』


 うん。異能力は恋愛対象じゃないかな……。


 そして現在 ーー。


「ぐっ!うぅ……」


 ほえー、紅羽が耐えられないほどの重力強化とは、無慈悲だねー。クラーちゃん?


『これぐらいしないと勝てないでしょう?』


 まあ、それもそうか。

 でもまあ、同情はするよ。紅羽。


「こ、これはっ!?」

「『第一次進化:一心同体』。お前らで言う、第二次覚醒だな」


 紅羽は驚きで目を見開いた。

 ま、ズルして会得したとはいえ、異常な速さで会得したんだ。そりゃあ、当然の反応だな。

 『一心同体』は、俺とクラーの人格を完全に一つにすることで、体そのものを世界の理と化すものだ。

 無敵の様な聞こえかもしれないが、当然欠点もある。

 1分だけしか使用が出来ない。それ以上は本当に脳がぶっ壊れる。

 1分以内で終わったとしても、反動で異能力は24時間使用不可状態となる。

 だから、早めに紅羽が降参するのを期待したいのだが、そう上手くいかないのが世の常。


「なっ!」


 思わず驚きの声を上げる。

 何と紅羽が無理矢理重力に逆らっているのだ。

 馬鹿!体がぶっ壊れるぞ!


「はは、こんなにも凄かったなんて、予想外でした……」

「む、無理矢理、異能力を消した……」


 重力に雷を当てて打ち消しやがった!バケモンか、コイツ!

 だが、紅羽の息は絶え絶えだ。決めるならここ!

 俺は異能力を右手に集中し始める。

 紅羽はそれに気づき始めて、ニヤリと笑った。


「廉先輩!最高ですよ!なら私も!全力で!」


 紅羽の周りから異常な空気の重さと雷電が迸る。

 クラー、キャンセルできるか?


『無理です。出力が大きすぎます!』

「ぐっ!なら!」


 俺は練り上げるリソース量をさらに高める。

 即興だが何とか……!

 と、あちらももう準備が終わった様だ。

 紅羽がすぐに異能力を発動しないのは、俺を待ってくれているからだろう。

 俺も、それに応えよう!


「準備できましたか?」

「ああ、待たせたな」


 この互いの一撃で終わる。

 だから、全力で……っ!


「『雷帝』!」

「『紅神皇裁(クラースヌイ)』!」


 紅羽の雷の砲撃が、俺の概念を圧縮した光線が、激しい余波を散らしながらぶつかり合う。

 押しきれ!あと10秒で『一心同体』が切れる!

 あと10秒で押し切るんだ!

 あと5秒……、4、3、2、1……。


「そこまでだ」


 俺の『一心同体』が切れる直前、その声が闘技場に響く。

 刹那、俺と紅羽の一撃が消え、代わりに奏華が俺たちの間に立っていた。

 奏華は笑顔だが、目が笑ってねえ!


「いやはや、素晴らしかったよ。特に廉くん。君は異能力が覚醒してから一週間程度というのが信じられないほどの強さだったよ。紅羽と同格かそれ以上の実力者は日本にはいないからね」


 何だ。褒めても何も出ないぞ?

 ちょっと頬を緩めてしまうが、奏華に凄い形相で睨まれて、すぐに真面目な顔へ戻しておく。

 それを見た奏華は再び口を開いた。


「だが、お互い境目を見失ったな。直撃すれば骨すら残らない様な技を躊躇いもなく使うとは恥を知れ」

「「でも、ああしないと勝てませんでしたし……」」

「言い訳は結構。自身を制御することも、SSSには必要な能力だ。それを忘れない様に」

「「はい……」」


 うう。ド正論すぎてぐうの音も出ない……。

 結局、今日はその場で解散となり、無事に帰れることに安堵する俺なのだった。

第一次進化

通常の異能力は『覚醒』をするが、解釈が無限の広がりを見せる異能力には、覚醒が存在せず、代わりに進化が発生する。

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