第4話 幼なじみのアイツ
言っとくが、幼なじみのアイツは昔から無鉄砲で無計画で無茶ぶりを自分に当然かのように振ってくるのが日常茶飯事であった。
自分がそれでどれだけ苦労したか……。
今さっきだって魂が半分抜けかけたのを、しっかりと掴まれていたし。
自分は前世一体何の罪を犯したのだろう。
アーメン!
「ほら、さっそく買い出し行くよ!」
アイツが自転車のカギを振り回して叫んでいる。
待て、こら。
「どうせチャリでなんか行く気ないくせに」
「あら、バレた?」
「自分が免許取ったばかりなの当てにしてるのが目に見えとる!」
「バレテーラ♪」
舌を出してウィンクしたって今更可愛い度なんか上がらないぞ、こら。
仕方なく車のカギをポケットから取り出す。
寝てる間に勝手に部屋にがありこんできたアイツは上機嫌で靴を履いている。
そして振り返って笑顔で一言。
「ありがと」
「……おう」
たま~に素直なのが、アイツの良い所、だもんな……。
「早く~!」
半開きのドアから顔を覗かせて催促するアイツ。
「わーったよ」
苦笑しながら自分も靴を履くと、もう少しで季節がアイスクリームの美味しい夏になるんだと気づく自分であった。
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