表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

第2話 夢は始まったばかり

「で、何か少しは考えはあるんだろーな? そんだけデカい口叩いといて」

幼なじみは椅子の上で胡坐を掻いて私を睨みつける。

「無い」

即答する私。

風が二人の間を爽やかに吹き抜けた。

「は?」

「だから、無い」

にっこりと笑って誤魔化す私。

すかさずデコピンが飛んでくるがお生憎(あいにく)さま。

その指を秒でハリセンで叩き落す。

手を押さえて呻く幼なじみがもう何だか定番である。

「ーっ、お・ま・え・は人を頼り過ぎだこの馬鹿や」

「や?」

今度は鞄から鉄扇を用意してチラつかせる私。

「や、…………。野菜はど、どうしょうか?」

急に口調が下手になる幼なじみ。

しかし野菜から虹色を採るというアイディアは悪くない。

世の中ヘルシー志向だし。

良いんじゃあないか。

野菜か、野菜なー。

私はメモ帳を取り出して書き込む。

「赤色は、トマト? (だいだい)(オレンジ)はカボチャ? 黄色は……。ん~パプリカとか?」

ぶつぶつ言うのを、幼なじみは黙って見ていてくれる。

黙って?

ヒュン!

「おわっ! おまえは急に先が鋭い鉛筆を投げるな!」

「あーたが(あんたが)黙ってるのが悪い」

一刀両断で悪いのは幼なじみと断言。

「分かったよ。で、次は緑か? キュウリ……。ピーマン……。うっわまずそう」

「スイカ、は果物か」

「お、ちょっと違うぞ。スイカは果実的野菜に分類されるからな。って、果肉は赤じゃあないかよ」

「そうなんだよね~。緑で美味しそうなのって。ワサビ?」

「何かジャンルがズレてきたな」

私はメモ帳を睨む。

「まあ、緑は置いておこう。藍は、ナスかな。あ、でも紫もナスだし」

「区別が難しいな」

幼なじみも頭をフル回転させてるようだ。

「言い出しておいてなんだが」

手を挙げて、「先生!」のポーズで幼なじみが言う。

言いたいことはもう解っていたが、敢えて問うことにする。

「何よ」

「ヘルシー路線は諦めたほうがいいと思う」

良い案だとは思ったんだけれど。

やっぱりアイスクリームには……。

「「フルーツ」」

二人の声がぴったりと重なった。


 


お読みくださり、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ