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プロローグ 4月4日午前05時01分

それは若葉が芽吹き、微風に桜吹雪の舞う爽やかな春の早朝の事だった。

都内のとある区の住宅街。

2人の男女がやや早足で緑の芝生を行く。


「はやく、はやく。新くん遅いよーー!」


「分かったって。朝からはしゃぎすぎだぜ明子ー」


まだ薄赤の朝陽が差す早朝に近所に住む大学生のカップルが都内の桜の花見の隠れたスポットである赤井公園あかいこうえんを散策していた。

人っ子1人いない公園を歩き2人ははしゃぐ。

青い芝生に小さな池に浮かんだ鴨の形のボート、所々に植っている樹々、子ども用の大きな滑り台。

平日とはいえ、もう数時間もすれば花見や散歩のため、人が集まり賑やかになるだろう。

カップルは束の間の独占を楽しむために早起きして早朝の散策に来ていた。


「新くん、ほらそろそろだよ」


「うん、朝の桜もきれいだろうな」


そして、2人は目的の桜並木に差し掛かる。

桜の1つを見上げ女性は嬉しそうに嘆息した。


「これがこの公園の桜かぁ……

……ちょ、新くん? あれなんだろ?」


女性は桜の樹々の1つに何かがぶら下がっているのを発見する。

よく見るとその物体からはポトポト、と何かが滴り落ちているようであった。


「どうしたの? んー……?」


男性も興味を示し、2人で桜の木にぶら下がっている何かに近づいた時であった。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」


「キャァァァァァァァァァァ‼︎」


絶叫が桜並木と緑の芝を轟かせ、早朝の朝焼けを小鳥がハタハタと舞った。


カップルはお互いの身体を支え合いその場で尻餅をついて「それ」を見上げる。


その桜の樹には首を吊られた眼球のない死体が血を流しながらぶら下がっていた。

死体の足元に出来たどす黒い血の水溜りはまるで紅の桜が涙を流しているかのようで……

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