突然現る自称神2
「ねぇ、なんでそこまで嫌がるの? 私、主神なのよ」
「主神様がこんなおんぼろ教会に来るわけないだろ。それに、こちとらシスター一人どころか、俺一人の生活でも金が足りねんだよ!!」
「ねぇ~~~~、お願い何でもするから」
扉に顔を擦り付けたまま、涙目で訴えてきた。
ん?……今『何でもする』って言た? てか、なんで泣いてんだよ、情緒不安定か、こいつ。
扉を閉じるため、必死に扉を抑えるが、徐々に隙間が広がり閉まる気配がしない。
そうだ、あの手を使おう。
「あ……空にドラゴンが!」
「え!?」
自称神は、扉から顔を離し、空を見上げ、空に気を取られていた。
よし、力が弱また。
バカめ、噓に決まってるだろ。
何が『噓は通じない』だよ。
「おんどりゃーーーー」
バタン
力いっぱい扉を押し、閉めた。
ガチャ
鍵を閉めると全身の力が抜け、地面に座り込んだ。
「ちょっと~~ドラゴンなんていないじゃ……ああああああああああああああああああああああああ!!」
扉の奥からドラゴンの雄叫びのような声が聞こえた。
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
扉が音を立てながら激しく揺れる。
「開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて入れて」
怖、何この人、扉を壊すような勢いで扉を揺らし……
バキッ
「「あ……」」
あんなにうるさかった扉が、たった一つの音で静まり返った。そして、扉に腕が生え、手には扉の一部を挟んだ鍵付きの取っ手が握られていた。
あいつ、扉を壊しやがった。
「……」
その手は取っ手を握ったまま、扉の外へ戻っていった。
すると、取っ手のない扉がひとりでに開き、奥には扉の取っ手を手で持ち、それを見つめている自称神がいた。
「おい!」
声を掛けると「ハァッ」と驚きこちらを向くと、苦笑いし、取っ手を持っていない手を頭の後ろに置いた。
「えへへ~〜」
「『えへへ~〜』じゃねーーんだよ」
「あぁ……無理ですか……分っかりました。
では、別の教会にお願いしてみます」
こいつ無視しやがった。
自称神は教会に背を向け「私はこれで」と、言い残し取っ手を持ったまま、その場を去ろうとしていた。
まさか、何も無かったことにして帰る気じゃ……
「おい、待て!」
「ひゃひぃ……」
自称神の後頭部をわしずかみにし、動きを止めた。
「教会の扉を壊しといて無事に帰れると思っているのか?」
「いや……そのぉ……」
「そういえば、お前『何でもします』って言ったよな」
「いや……それは何と言いますか……」
「『休み、食事、給料いりません』とも言ったよな」
「いや、それは言ってないような……」
「言ったよなーー」
つかんでいる手に力を込めると自称神が手首をつかみ、体が暴れだした。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
「いいぜ、シスターとして雇ってやるよ」
「ふぇ……」
力を弱めてないのに動きが止まり不思議そうな目でこちらを見つめていた。
『ふぇ……』ってなんだよ。
「もちろん希望通り休み、食事、給料はないがな」
「あはは……遠慮しておきます」
つかんでいる手にさらに力を込める。
「遠慮なんてしなくてもいいんだよ。
まずは、扉を直そうか」
「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
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