突然現る自称神1
「「何でシスターになるのに病院に行くのよ!」」
耳の裂けるような大声で怒鳴ってきた。
耳が痛い……。
「冗談ですよー(棒)」
「『冗談ですよー(棒)』じゃ、ないわよ、さっさと案内しなさいよ」
またもや怒鳴る。
ハァ……
「めんどくせ~」
「何か言った?」
夕陽のような瞳の奥から殺意を感じた。
やべ……声に出てた。
「いいえ、何も。 では案内するので、付いて来てください。」
自称神の横を通り正面の道に出て街へ向かう。
こんな頭のおかしい奴をシスターにしたら他の信者達に何言われるか…………
何としてでも追い返す。
「まったく、最初から案内しなさいよね」
自称神は、俺の後ろを付いて来ている。
シスターになりたいなら、まずその口調をなんとかしろ。
「まず、街の仕立屋に行き、あなたの修道服を仕立ててもらいます」
今に見てろ……仕立屋に行くと見せかけて、騎士団に不審者として突き出してやる。
「あなた、今噓を付いたわね」
え……!
自称神は、道の真ん中で立ち止まり何気ない顔で、こちらを見つめていた。
なぜ、バレた?
根拠のない言いがかり?
「な、なにを言ってるのですか、俺が噓をつくわけがないじゃ……」
「ほら、また噓をついた」
まさか……言いがかりじゃないのか……
「あのねぇ……神に噓が通じると思っての? 神はね、あなた達人間より、物凄く長く生きてるの。そして、私たちは、あなた達を今まで見てきていたの。だからね、あなたみたいな十数年しか生きてない奴の噓を見抜くなんて朝飯前どころか歯磨き前よ。神は、他にも……」
自称神は、目をつむり自分語りを始めた。
……歯磨きって朝飯を食べた後にするものだよな。こいつは、きっとバカだ。
そんなことより今のうちに教会に戻り中に立てこもろう。そうすれば、流石にあきらめてくれるだろ。
足音を立てないように静かに教会に向かう。
「つまり神というのは……」
自称神は、目を見開きシズムを見つめようとしたが、そこにはシズムは居なかった。
「あ、あれ……」
顔を左右に振り俺を探している。
やべ~~早く戻らないとバレる。
パキッ
やべ、足元を見てなくて枝を踏んじまった。
自称神は、獲物の気配を感じ取った獣のように一瞬で後ろを向き目が合った。
……ヤバイ、バレた。
「ちょっとあなた、人の話は、最後まで聞きなさい」
自称神なのに自分のこと、人って言った。
そんなことより早く逃げなくちゃ。
全速力で教会に向かう。
「は?……なんで逃げんのよ」
自称神の声に耳を傾けずに教会に飛び込み、扉を閉め、開らかないように体で抑えた。
抑えていた扉が押され、扉に隙間ができ、隙間の奥から自称神が扉に顔を擦り付け覗かせた。
「ちょっと、なんでそんなに嫌がるのよ」
こいつ、見た目以上に力が強い!?
そして何より顔が気持ち悪い。
必死に扉を押しているせいか、まるでゴブリンのような顔をしている。
「ねぇ、なんでそこまで嫌がるの? 私、主神なのよ」
最後まで読んでくださりありがとうございます。
よろしければブックマークよろしくお願いします。
広告の下にある↓(☆☆☆☆☆)を(★★★★★)にしていただけると《大きな励み》になります。
これからも応援お願いします。