厄介なこと
意味のわからない所がありましたら、コメント下さい。
苦しい中で書いたものなので、おかしくなっている可能性があります。
僕はこの世界で作った物には、魂か何かが宿るのではないかと考えた。
僕はもっとたくさん何かを作ってみようと考えた。
もし、このロボットに魂か何かが宿るのだとしたら、それはロボットではなく、魂か何かの入れ物になるのではないか?
もし、意思があるのなら、この世界をつまらないと思ってしまうのではないか、少し不安だった。
* * * *
昼休みの間の昼下がり、俺たちはまたこの人のあまり来ないベンチに座ってパンを食べながら、話し合いをしていた。
「で、河原は演劇したことあるのか?」
「いえ、ありません。坂野さんはありますか?」
おっと。逆に質問し返されてきた。
演劇と言えば、やっぱり幼稚園や小学校でやった以来やっていないな。
あと、幼稚園の時は主人公的存在をやりたがっていたが、小学校では何故か悪役をやりたがっていた思い出があるな……何故だろう。
「ま、未経験って言ってもいいな」
これが妥当な答え方だな。
「あ、坂野さんもじゃないですかっ」
「いや、でも俺はやらないからいいんだよ」
その瞬間真波の顔が、やらないんですかっ!? みたいな意外そうな顔になった。
「坂野さんも一緒にやりましょうよっ」
「やるかっ! 部活なんて」
俺は思いっきり拒否してしまったが、ここでしっかりと言っておかなければ面倒な事になる気がするのですまないな。
「どうしてそんなに嫌がるんですか? きっと楽しいです。部活」
真波は少し前屈みになり、両手に力を入れて熱心に言っていた。
部活なんて、見るのも嫌だ。情けないと思う。でも……。
ここは普通に適当な事でも言おう。
「ほら、俺たち三年は勉強で忙しいからさ」
「そ、そうでしたね……すみません。でも坂野さんが勉強している所、私見たことありません」
「そ、それは……そう。自分の家でじゃないとなんか気合い入らねーんだよ」
必死に答るところが怪しすぎるが、きっと大丈夫。
もちろん勉強はしていないが。
「そうでしたか、すみません。疑ったりしてしまって」
「いや、いいよ。でも演劇の経験が無いなら別の部活を探すのもありだぞ?」
「いえ、私は演劇部をやると決めたのでやろうと思います」
真波の決意は固かった。
これなら俺が無理に変えろ、なんて言うのは無駄なんだろう。
まあ初めから強制的に俺の意見を押し通す訳ないけどな。
「なら、部活体験の日までまずは待つしかないな」
「はいっ」
笑顔に元気よく返事をしていた。
* * * *
「お〜い坂野。今日は一緒に帰れるよな」
全ての授業も終わり、STも終わった瞬間、春樹が帰りがけに話かけてきた。
昨日と違って今日は特に予定は無く、断る理由は無で素直に返事をした。
「あぁ、いいぞ」
また、いいとは思うがもし校門で真波が待っていたらどうしたものか。
春樹は真波とは何も関係が無いと思っているからな…もし見られたら、これはめんどくさい事になるな。
そんな事を考えながら昇降口を出て、校門の見える所まで来た。
ぱっと見はいないが、どうだろう。
「何校門ばっか見てんだよ。そんなに校門が好きなのか? それとも、誰が待ってんのか?」
流石に見過ぎだらしい。あの春樹に言われるとは相当だな。
校門を出た瞬間俺は、今日は居ないのか、と思ったがどうやら誤解だったらしい。
「あ、坂野さん。待ってましたよ。さあ、一緒に帰りましょう」
やけにいきいきとした口調で俺に話しかけてくる女の子の声……何だろうな、これが青春ってやつか〜。
そんな風に思っている俺の隣には、熱烈に問いただす奴の姿が一人。
「坂野、お前僕に嘘ついたのか!?」
「いや、ついてねぇーぞ。お前が勝手に勘違いしただけだ」
「そんな訳あるかっ!」
「坂野さん、この人が春樹さんですか?」
「ああ、そうだ」
「春樹さんですね、あの。前にも言いましたが私と坂野さんは付き合っていませんから、あの。誤解しないでください」
ぐっ! 何故俺はこんなに傷ついてるんだ?
「そうだよな、お前に彼女なんかできるはずないよな」
「はい、あ、いえ。できないことは決してないと思います。
きっと、坂野さんにもいい人がいます」
真波は慌てて自分の失言だと思ったであろう事をフォローした。
「そ、それでは、坂野さんと春樹さんはどういったご関係なのですか、友達ですか?」
「普通に見てそうだろ、あ、いや、違うかも」
俺は春樹とどういう関係なんだ? 上下関係…主従関係…どれだ?
「どれも違うわ!」
何故か春樹が突っ込んできた。俺は頭の中で考えていたはずなんだが……こいつ何者だ?
「ちっ、仕方ねぇな、僕が教えてやるよ」
そう言うと、春樹は手をわざとらしくポケットに入れ、視線を夕陽の方へと向けた。
「僕たちは、そう。戦友みたいなもんかな。
いろんなことしたし、いろんな人とも会った。そして、いろんな人達と戦ってきたよ」
「いや、別に何もしてないし、会ってきたのクラスメイトだけだし、戦ったの葵とだけだし、いつもお前がやられてばっかだろ」
俺は春樹から言葉を言い終わると同時に話した。
「そ、それに、い、いろんな場所に行ったし…」
「いや、どこも行ってねぇぞ」
「話を小さくするなよ!」
「嘘は駄目だろ? と言ってもこんな話を信じるやつなんていないと思うけどな」
「とても素敵ですねっ! って。嘘だったんですか?」
いたよ、信じるやつ。
「あぁ、コイツの言うことは全部嘘だからな、信じるなよ」
「坂野さん。それは失礼ですよ」
「おっ、この子分かってんじゃん。へへっ、君かわいいね。僕のうちくる?」
そう言って春樹が真波に一歩近づいた瞬間に、俺は春樹の肩を引いてそのまま肩を組んで顔を近づけた。
「お前それナンパだぞ」
「えっマジかよ」
このままだと一向に話が終わらないな。というかまずは自己紹介からだろ。
「河原、お前まだ名前言ってないだろ」
「あ、そうでした。私、河原真波と言います」
一度改まって頭を下げながら言った。
「へぇ、真波ちゃんって言うんだね。
このお兄さん《坂野》怖いでしょ? 一緒に帰るなら僕が一緒に帰ってあげるよ」
「いえっ、坂野さんにはいつもお世話になっていますし、優しい方です」
真波が必死に答えている。と言うか俺、優しいのか?
と言うかお世話になってますってなんだ!? 俺お世話なんかしたか!?
「坂野。オメェお世話って何したんだよ!」
「俺は何もしてねぇぞ」
「じゃあ真波ちゃんの言ってるお世話ってなんだよ」
「俺が知りてぇーよ」
「落ち着いてください。坂野さんには一緒に部活を探したり相談にのってくれたりとお世話になっているじゃありませんか」
「あぁ、そう言うことか……」
「へぇ、坂野が部活か。お前、部活なんてするんだな」
そう言うと春樹は意外なものを見る目で、皮肉を言うような表情で言っていた。
「……ああ」
「じゃ、俺はこれで失礼するよ」
そう言うと、春樹は小走りで帰って行った。
「坂野さん?」
「俺たちも帰ろう」
「は、はい」
そう言って、俺はたちは帰った。
一応確認しておくが、今日俺が帰るところは河原家ではないぞ。
自分の家だ。