番外編① 成長の確認
ゴブリン討伐から帰る途中の話です。
スキルの説明とかが中心になってます。
「そういえば、Lvは上がった?」
森から町への移動は徒歩だ。
20分くらい歩かないといけないので、2人で黙々と歩いていたのだが、ショコラが唐突に聞いてきた。
「うん。ちょっと待って」
スキル「鑑定Lv3」発動。
〈名前〉チワキ・ユウ
〈Lv〉5
〈ステータス〉
HP‐1403/1403
MP‐682/1387
「今はLv5だな」
召喚された時はLv1だったが、ここ3日でLvは4も上がった。
「もう5!?
戦闘前はLv3だったのに、さすが『勇者』ね……」
称号「勇者」には、LvとスキルLvが上がりやすくなる効果があるらしい。
ちなみにゴブリンとの戦いの時点で俺のLvは3になっていた。
あの邪猪との戦闘の影響だ。
俺は1回も攻撃せずにショコラを攻撃から庇っただけだったが、しっかり経験値は貰えたらしく、Lvが3になっていた。
ショコラ曰く「異常」だそうだ。
さすが勇者チートと言ったところか。
おかげでHPとMPのステータスは鶴城や衛、飛間さんを超えた。
あっちは訓練してもっと強くなっているかもしれないが。
「スキルLvは?」
「えっと……長くなるぞ」
ゴブリン戦で上昇したスキルLvを頑張って思い出す。
「鑑定Lv3」ではスキルを確認できないのが惜しい。
ついでに俺が取得したスキルを紹介しよう。
「黒魔法Lv1→2」「白魔法Lv1→2」「聴覚強化Lv1→2」「剣才Lv1→2」
「生命Lv1」「滝壺Lv1→2」「強攻Lv1→2」「頑丈Lv1」「清流Lv1→2」「俊足Lv1→2」
持っていたポイントは戦闘前に、ショコラ監修のもと、ほとんどスキルの取得に使った。
「黒魔法Lv2」と「白魔法Lv2」は、それぞれデバフとバフを与える魔法を使うスキルだ。
一応、どちらも取得難易度Aランクの魔法スキルであり、30人に1人くらいしか適応者がいないらしい。
どちらも取得できた俺はかなりラッキーなわけだ。
「聴覚強化Lv2」はその名の通り聴覚を強化するスキルだ。
聴覚を強化すると言っても、音に過敏になったりするわけじゃない。
今まで聞こえなかった音が聞こえるようになる、という感じだ。
だから別に大きい音が弱点になったりはしない。
「剣才Lv2」は、「【剣】の勇者」鶴城も持っていた、剣を扱うスキルだ。
あっちはスキルLv10だったが。
効果は「剣を使っている際、判断力を強化する」というもの。
文章だとよく分からないが、実際に戦ってみるとよく分かる。
スポーツ選手のゾーン状態のようなものだろうか。
戦闘中にも思考の余裕ができるのだ。
調べてみたが、俺には攻撃系統の魔法スキルの適性が無い。
というわけで、仕方なく攻撃に剣を使うために取得したわけだ。
なお、スキルLv×1%、攻撃力と素早さを上げるという副効果もある。
とても優秀なスキルだ。
この世界では結構ポピュラーなスキルらしい。
あとの「生命Lv1」「滝壺Lv1」「強攻Lv2」「頑丈Lv1」「清流Lv2」「俊足Lv2」は各ステータスを強化するスキルだ。
それぞれ、HP、MP、攻撃力、防御力、魔出力、素早さをスキルLv×1%強化する。
ステータスを効率的に強化するなら必須のスキルたちだ。
これだけのスキルを取得してからゴブリンに挑んだのだが、かなりスキルLvを上げることができた。
効果も確認できたし上々だ。
「もうそんなに上がったの……?」
大きく目を見開くショコラ。
大きく丸々とした目が今にもこぼれ落ちそうだ。
「その反応ってことはかなり早いんだろうな。
『勇者』ってすごいんだなあ」
「すごいなんてもんじゃないわよ……」
ショコラは俺の成長を聞くと戦慄したような顔をしてからぶつぶつと何か考え始めた。
会話はもう終了したらしい。
「次は何のスキルを取ろうかなー」
今持っているスキルポイントは14だ。
何かいいスキルを見つけたときにすぐに取得できるように、ある程度は残しておくようにしている。
まずはLvを上げてスキルポイントを貯めないとだな。
あとは「鑑定Lv3」だ。
すでにLvが3なだけあって、戦闘中にゴブリンを鑑定しても上がらなかった。
上げるにはしばらくかかるだろう。
鑑定といえば、俺はショコラを鑑定したことが無い。
宿を出てすぐのことだが、ショコラにこう言われた。
「無闇に人を鑑定しないようにね。
許可無しで鑑定するのって失礼なことだから」
これは、釘を刺されたということだろう。
ようするに、自分を鑑定するなということだ。
少なくとも俺はそう解釈して、これまでショコラを鑑定はしてこなかった。
ショコラは俺よりも遥かに強い。
きっと桁違いのステータスをしているだろう。
興味はあるが……トラブルの種を自分から蒔く必要も無いからな。
ちなみに鑑定は、されたら分かる。
俺はまだ人に鑑定されたことが無いから詳しくはわからないが、視線を感じるようだ。
鑑定すると、後ろを向いていたゴブリンもこちらに気付いてしまっていた。
使うタイミングには注意しないとな。
あれこれ考えていると、キカナーの門が見えてきた。
やっと帰って来た!
が、この後は隣町に移動だと思うと気が重い。
馬車を借りる金はないと言っていたからまた徒歩だろう……。
俺は重い足取りで町門に向かった。
「予想以上だった……どうしようかな……」
先を行く俺の耳には、ショコラのその呟きは届いていない。
そして、その表情も見えていなかった。
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