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キャンバス
試験投稿です。
ある日起きたら世界がなくなってしまっていればいいのに。
そんなことを、中学時代はよく考えていた。こんな言い方をすると随分昔みたいだけど、ほんの数年前のこと。今だってあの時と同じように寝起きして、同じような時間に起きて生活しているのに。
朝からそんな暗いことを考えてしまったのは、きっと夢見が悪かったせいだろう。空気が乾燥しているのか喉がカラカラだ。
窓から差し込む光をぼうっと眺めながら、ゆっくり身を起こす。妙に身体が強張っていて、伸びをするとコキコキと小気味良い音が聞こえてくる。
目を擦って欠伸をひとつ。ようやくベッドから抜け出てカーテンを開くと、そこにはいつも通りの朝。
折れた電信柱に、屋根に大きな穴が空いている家。塀なんて崩れてしまって、長くどこまでも続いていたはずの地面はそこかしこがひび割れている。
どこも色あせて見える世界の中で、自然に還ろうと伸びる草花だけが鮮やかだ。
また、一日が始まる。