終24、対峙ブラックホール! 守+攻+攻+突のスパイラル
「我等もこうしてはおれん! 急ぎ魔族全体に知らせ、各所の噴火と落下する隕石を食い止める!」
魔族の代表者はコンダクターさながらに、世界各地に点在している魔族に働きかけ、龍神の手伝いをするように指示を飛ばした。
「この地にいる我等は五柱神の手助けをする! 各派に別れて助力すべし!」
その合図で魔族は散らばって行った。
いや、それは何も魔族に限ったことではない、神族もまた人々が一つとなって事に当たる様を見て感化されていた。
そしてその代表者は鍛冶ガールの元へと一度戻ってくると、
「後の事はお頼み申す!」
そう言って彼方へと四散して行った。
「よし! 我々人間は安全な場所に避難しつつ、力を届けるぞ!」
長尾軍は山吉・柿崎・小島・嵐蔵の指示の元、領民の安否確認を兼ねて馬を駆り、地を蹴って動き出した。
五芒星の中心部には今、鍛冶ガールと巌鉄斉、四季彩に軍司。そして無縁だけが残っていた。
「フフフ。大分効力を失ったとみえる。体が軽いぞ、巌鉄よ」
不気味な笑みを浮かべた暗黒龍はゆっくりと上昇すると、上空で純白の神龍と対峙した。
そこへ何を思ったか柱神を指揮して列島各所へ向かったはずの天狗が舞い戻って来た。
「あれー!? 天狗さん! どったの??」
咲良は少し驚いて尋ねた。
すると天狗はフランクフルト大の鼻をヒクヒクさせて言った。
「ウム。魔族と他の神族の協力もあったでな。白夜と千恵に任せて来た。天子ちゃんも存分に暴れ回って火山の活動を止めておる! ワシはこっちが気になってな」
それを聞いた巌鉄斉はニタリと笑うと悪友天狗に言い放った。
「でかしたぞ! 天狗! お前は彼女らと協力してまずはあの鬱陶しい次元の狭間をなんとかせい!」
「かっ! 言われんでもそのつもりじゃ! まこと、おぬしに託したとっておきを使う時じゃ!」
まことは巌鉄屋敷で伝授されたある技を思い出していた。
(……そうか! 応用すれば使えるわ!)
「フフ。流石賢い子じゃ! もう飲み込めたか」
「こら! まことはワシのまことじゃぞ!」
「やかましい! お前は黒い龍殿を抑えておけよ」
爺さん同士の痴話喧嘩の後、鍛冶ガールと天狗の秘策を遂行させるために白龍となっている巌鉄と炎龍・影虎は決死の覚悟で無縁の前に立ちはだかった。
そして天狗は咲良を残し、全員の力を結集させ、ブラックホールを消し去る作戦を伝授する。
「そんなことが本当に出来るんですか?」
「出来る! 肝はそれぞれの力を打ち込み、最後にまことのとっておきでトドメじゃ! いかな次元の狭間と言えどもおぬしらの力が折り重なって向かっていったら飲み込む前に自分から膨張し、最後には木っ端微塵になるはず!」
茜の問いに手っ取り早くアンサーを下した天狗先生に対して咲良だけは反抗した。
「なんであたしだけのけ者なのぉ~?」
「おぬしは巌鉄斉と影虎の援護じゃ! それに……」
天狗は何かを言いかけて途中でやめ、作戦を開始した。
「龍神の助力なしに今さら何をしようてか! 消し飛べ!」
無縁の闇の咆哮が炸裂したが、巌鉄斉がそれを阻止する。
「白壁の術!」
「おのれ小癪な! ……おっと!」
無縁の言葉の途中に間髪入れず影虎が攻撃を続けた。
「チッ、避けられたか。エロ爺ぃもっと引き付けよ! 俺の必殺の一撃が当たらんだろうがっ」
「何を!? 生意気な小僧が!」
「誰と喧嘩してんだよあの龍神達は……」
コソコソっと突っ込みを入れた軍司はハッと気がついたように叫んだ。
「バーカ! バーカ! 黙って見てろってんだよ、黒じじぃ!」
黒という言葉だけで自分だと理解した無縁は癇癪をおこし、軍司目掛けて咆哮した。
「白壁の術!」
「まだ邪魔をするかっ! ……おっと!」
「あ~あ、外れた……じいちゃんもっと引き付けておいてくれなきゃさぁ」
「何だと!? バカ娘がっ! 尻だけは認めるが、バカ娘!」
「なんだとぉ!? 俺の咲良をけなすかエロ爺ぃ」
「だから誰と喧嘩してんだよ……ハッ! 陰険じじぃ!」
巌鉄斉が防御すると影虎と咲良のカウンターが発動し、最後に軍司が悪態をつく。この黄金率のスパイラルは永遠に続いていくのであった。
ご丁寧に無縁までもが。
「あいつら真面目にやらんか……」
呆れ果てた天狗はやる気を削がれる思いだったが、なんとか無縁を抑えていることに安堵すると天狗作戦を開始し始める。
「いいか、絶妙な間合いが大事だ。時間を置きすぎてもならん! かといって早すぎてもダメじゃ!」
天狗はまるでお笑いの講師のような能書きを垂れながらも、その都度鼻をヒクヒクさせ、多額の入会費でも払っているのかうら若き5人の少女らは至極真面目な顔つきでヒクヒク鼻に見入っていた。
「よし、まずはぶりっ子からじゃ!」
生粋のぶりっ子の出番に栞菜も茜も、そして何故か四季彩までもが沸き立った。
みんな姫子のぶりっ子が大好きなのだと確認がとれた。
「もぅ! なんですか皆さんでぇ」
悩ましいポージングをしながら反論した姫子を見て、天狗までもがその赤い顔を更に赤く炊き上げて応援した。
「あいつら真面目にやらんかっ」
必死な攻防を繰り広げている巌鉄斉は、逆に突っ込みたい気持ちだったが、防御を任されたが故にそんな暇など皆無。
今まさに、天狗作戦は開始されようとしていた。
次回 終25、ブラックホール消滅! 対峙、無縁




