終23、結界再稼働! 譲れぬものは譲れぬものなり
巌鉄斉は五つの柱を操縦するように、再び大地へと捩じ込んでいった。
今度は各柱に柱神が門番のように居並び守護している。
「せっかくじゃ、第六の柱も流用する! 四季彩! お前は黄金の柱へ参れ!」
「は、はい!」
四季彩は鍛冶ガールを名残惜しそうに見たが自分の使命を全うすることを第一に、その場を離れようとした。
「シッキー! お互い頑張ろうねっ」
咲良の声にニコッと笑い、他のメンバーに目配せして信頼を確かめると、四季彩は己れの柱へと急行する。
「よいか、たった今結界を再稼働させた。今度はこの結界をさらに包み込むように龍神らが囲んでおる。五柱神の力と柱の力。それに龍神の力を合わせて無縁を押さえ込む!」
「そこまでやらないと無縁を押さえ込むことができないんですか?」
茜は強大な力を持っている無縁を改めて最大の脅威と認識するかのように巌鉄斉に問い掛けた。
「そうじゃ。ヤツは元々己れ一人で実行するつもりだったのよ。ヤツの理想に魔族の一部が荷担しただけのこと」
「んで!? 次はあたし達の出番てわけね!?」
意気込むようにそう言った栞菜をなだめるようにまことが言う。
「落ち着いて! 巌鉄斉様の指示を待ちましょう!」
鍛冶ガールらはなおもしばらく待つこととなる。
その頃、龍神は遥か彼方まで移動していた。
一帆は太平洋を越え南太平洋で留まり、海鏡は台湾、マレーシアを過ぎるとインド洋へと出た。
閃はオホーツク海とロシア大陸を突抜け北極海へ、柱を守る影虎の代わりに煌はロシア中央を北に、カラ海に面した北極圏へ。
そして伴峰はカスピ海を通りすぎ黒海へと到着した。
煌(それぞれ所定の位置にて待機。巌鉄様からの連絡を待て!)
伴峰(承知!)
一帆(はいっ!)
閃(了解です)
海鏡(現在地にて待機……)
(巌鉄様、よろしくお願いします)
煌は巌鉄斉へとテレパシーを送ると自身も待機して次なる指示を待った。
「よし、鍛冶ガールよ、天文投影の術を再度展開する。お前達は令和の人々に呼び掛けよ! もう一度、全人類の力を合わせる! 見よ、天文の人々にも龍神達の力で地上の存亡を賭けた大一番が伝え広まり、気を送ってくれておる」
待ちに待ったとばかりに張り切る5人は、それぞれが背を向けパートナーがいる柱を見詰めた。
その先には己れの属性の龍神が二重に結界を敷いていた。
「いくぞっ! 天文投影の術!!」
凄まじい閃光と共に五芒星は天高く昇っていく。
「来たぞ! 鍛冶ガールの姿が見える!」
「なんて綺麗なの?!」
「まるで天使じゃ!」
現代人らは再度出現した気高い美少女達の姿を確認すると、こぞって虜となり朝方の空を見上げた。
日付はとっくに変わり、日暮れと共に始まった五芒星大作戦は、長きに渡り続いたが終わりを迎えようとしていた。
「みんなの力を1つに! お願い! みんなぁ!」
咲良の叫びは、縦横無尽に世界に響き渡り、言語変換するかのように無限に広がっていく。
老若男女、生きとし生ける者全ての活動が今、手をかざし気を送ることに集中した瞬間であった。
まさに地球が1つにならんとする時、突如として世界各地で活火山の噴火が起こった。そしてそれは天文と令和同時に起きていた。
またそれとは別に、微妙な異変に気付き注目するものが各時代に一人ずついた。
天文では山吉が。そして令和では萬屋のすーさんが。
『さ、三条城が光っている!』
「ムム!? こ、これは……無縁! 貴様なにをした!?」
「フフフ。我は最後まで敗北を認めぬ。勝利を手にするは我ぞ!」
無縁の無限大の闇の力は各地各所の活火山を一度に噴火させ、世界を混乱と恐怖と混沌とに同時に落としせしめた。
「謀ったな……」
「後手に回った貴様のやることなど全てお見通しよ! こんなこともあろうかと霊脈を分割し、起爆剤としていたのよ。今や世界は名だたる活火山の大噴火で浮き足立ち、力を送っている場合ではなかろうて! ハッハハハハハハァ!」
「き、貴様ぁ……」
巌鉄斉は即座に龍神にテレパシー、その力を持ってして火山の活動を止めるよう指示を出した。
「はぁ? これだけの数をかよ!? 無理言うじゃねーか爺さん!」
開口一番に愚痴ったのは伴峰だ。しかし今回ばかりは一帆も海鏡も、そして閃でさえも絶句してしまっていた。
「お黙りまさい! 私達も腹をくくる時! 全身全霊尽くすのみ!」
伴峰伍長に叱咤激励した煌少佐は金龍に変化し、まずは率先してロシア大陸の名だたる活火山の噴火を止め始めた。
「大地よ静まりたまえっ!」
煌の金色のオーラは火山群の噴火をピタッと止めたが長くは持たないと内心思った。
(後は頼みます。巌鉄様。それに星の守護者達よ…………)
「はぁ……張り切っちゃってよ……ん!? 一帆、海鏡。お前らも火山を何とかしてくれ!」
急に真面目な顔つきをした伴峰に閃が問い掛ける。
「それであなたはどうするんです?」
「おいおいお前も本気が足りないんじゃねぇのか? 上を見ろ! 上!」
見上げた空から莫大な量の隕石が無数の焼夷弾さながらに不気味な炎と共に落下してくるのが確認できた。
「ケッ! あんの黒爺ぃやってくれんじゃねーか! やるぞ閃! 俺らの本気を見せたやろうぜ!」
伴峰もまた雷龍の姿になると瞬間的に大都市の電力を一手に賄える空母さながらに電気を発生させると大気をも操り数万数億の雷を作り出した。
「おらオメーら! あの隕石どもを蹴散らしてこいや!」
どこかでいつか観たようなSF超大作の銀河戦争的攻防は空を爆煙の渦にし、衝突する度に爆音を鳴らした。
「いけ! 閃光よ!」
銀龍となった閃もまた地上全ての光を集めると未知数の光の玉をつくり、空を覆い隠す隕石群を蹴散らし続けた。
一方で一帆は、アメリカ大陸と南米を一手に引き受け、海鏡もまたインド洋から臨むアフリカ大陸とアジア全域をその力を最大限に発揮して止め始めていた。
2人も同様に全力を出す気で本来の巨龍に変わっていた。
「フフ。これで他の龍神達の動きは封じた! 五柱神とやら、放っておいてよいのか? このままではこの日の本も火山にやられてしまうぞ」
唆すようにそう口走った無縁をギョロリと睨み返した天狗は、
「くっ、白夜殿、千恵! それに天子! 我々は日の本を死守せねばならん! 急ぎ手分けして火山活動を食い止めるぞ!」
そう言うと旧知の仲の巌鉄斉を見た。
巌鉄斉はコクりと頷くと、
「五柱神よ、日本を頼む!」
そう言って日本の行く末を託した。
「行きましょう!」
「えぇ!」
「よーし、大暴れしちゃうぞぉ!!」
「はは、天子ちゃんや、気の済むまで暴れてやれい! 行くぞ!」
「よし、俺も行くぞ!」
張り切った影虎を何故か天狗は制止した。
「影虎殿はここに残られい! 鍛冶ガールらを孤立させてはいかん!」
「しかし爺ぃがいるではないか!」
「いや、巌鉄斉は無縁と相対しているだけで精一杯じゃろう……日の本は我等に任せられよ!」
五柱神らは影虎に笑みで言葉を送った。
『あの娘達をお頼みします!』
そしてそれぞれが変化すると列島に散らばって行くのであった。
「天狗、白夜、千恵、天子……死ぬでないぞ!」
影虎は歯軋りして闇に覆われた空と大地の狭間で仁王立ちするのであった。
次回 終24、対峙ブラックホール! 守+攻+攻+突のスパイラル




