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 終22、議決! 携えてそうらえ

以心伝心の咲良と影虎の2人はすんなりと龍神の加護を咲良に託す行程を終え、影虎は龍神達の元へ咲良は天にまします鍛冶ガールらの元へと飛んで行った。


咲良は炎の翼をはためかせ合流すると、この緊急案件について代表者会議を行っている魔族らを静観する構えを見せた。


それぞれは今、属性の力を自分のモノにして風の翼、白銀の翼、水の翼、黄金の翼を持って空の人となり輝いている。

雷が折れ曲がったような、本物の翼のような羽をつけた茜は咲良にヒラリと近付くと手を握り合い会議の行方を見守る。



「悪魔の()()()()か。面白い!」


楽しむように傍観している影虎に伴峰は投げ掛ける。


「おい新入り! 楽しそうだなぁ」


初めて話すにも関わらず先輩面吹かすバリバリした頭髪の男を見ると影虎は言った。


「気安く話し掛けるでない!」

「なんだとぉ!? 生意気だぞてめぇ!」


一触即発、炎と雷をバチバチボウボウさせた。


「こら! おぬしらは少しは仲良く出来んのかっ」

「そうですわよ。同じ八龍神なんですよ」


巌鉄斉と煌に続け様に注意された2人はプイッとそっぽを向くと腕組みした。


「まるで子供ですね! きゃはは」


一帆がニタニタしながら言い、海鏡は沈黙を保った。

溜め息をついた閃は呆れぎみに言ったものだ。


「同じ炎と雷でも大違いだわ……少しは咲良と茜を見習ったらどうなんですか」


影虎と伴峰は仲良さげにしている鍛冶ガールを見るとチラッとお互いを見合ってからまたプイッとした。



そうこうしているうちに長尾軍も影虎の命を受け合流し、事の顛末を知り、固唾(かたず)を飲む態勢となった。

仰天したことは言うまでもないが、たった今まで戦ってきた魔族を目の前に、慌てる柿崎・小島らを柔軟な思考の持ち主である山吉、それに軒猿嵐蔵(のきざるらんぞう)は静観し場合によっては手を携えるべきと諭した。


そして遂に長い長い話し合いが終わり、魔族の代表者らの中から声が上がった。 



「神族と人間族(にんげんぞく)よ、お待たせ致した。我ら恥ずかしくも今回の一件にて意思の統一がなされていなかった事もあり、奇しくも敵味方に別れてしまっていたようだ。だが、この場にて協議の機会をもらい、心行くまで話し合いを重ねることが出来もうした!」


注目していた栞菜はボソッと呟いた。


「なんかまともそうな人格の魔族ね。それはそうか、私らが勝手に思い込んでいたところもあるのよね。妖怪やらは怖い存在だって」

「えぇ、善玉も悪玉もないのかもしれないわね。本当は……」


「姫子達と何も変わらないです! ねぇ四季彩さん」

「そうですね!」


そして咲良と茜は頷いて拝聴する態勢をとる。


「確かに我々の中には神魔転覆を目指す輩もいる! 実際我らもそのつもりでいた。しかし神族と親交のある者共の中から人も神も友愛を持つ者は多いと。現にそこにおわす四人の神々しかり、話し合いの場を下された八龍神しかり!」


代表の悪魔はそれら神々を見渡し、最後に鍛冶ガールを見上げて続けた。



「そして人間族にも心ある者の存在を目の当たりにし、我ら只今、結論を出しもうした!」


一同は固唾を飲んで耳を傾ける。


「我ら魔族は神族・人間族と手を携え、相互の理解と平和を望む!」


「えっ? えっ!? どゆこと?」


その言葉を理解出来なかった咲良は、茜を見たり姫子を見たりと忙しなかったが、まことと栞菜は晴れ晴れとした感動を含んだ笑みを浮かべていたし、四季彩は小さくガッツポーズをしていた。


「わかんないの? 戦いはやめて協力し合うって言ってんのよ!」


咲良はあっぽん口で数秒固まっていたが、やっと理解したのか、凧囃子(たこばやし)を踊るように空を駆けると一番に声を出して喜んだ。


「やったぁ! これで戦いはなしだよ! これからは仲良くやろうね!」


まるで昔からの友達と和解したかのような口ぶりで諸魔族に語り掛けた。

数多の魔族は人間とはこんなにざっくばらんな種族なのかと初めは驚いてみせたが、やがて盛大な勝鬨(かちどき)を上げるかのようにどよめき、熱狂した。



「そら、和平が成った! 我ら長尾の軍勢も負けてはおれぬ! 勝鬨だぁ! 喜びの勝鬨をあげよ!」


山吉の呼び掛けに呼応するかのように長尾軍もまた負けず劣らずの勝鬨を上げた。


『おぉ!! エイエイオー!! エイエイオー!!』

「まったく現金なやつらだ」


影虎は子供のように駆け回る咲良と部下達を見て言ったが、心底安心した顔をしたものだ。


一息ついた巌鉄斉はそれでも微動だにしない無縁に大音声(だいおんじょう)を向けた。



「と言うことだ! 無縁よ、そなたの気持ちはワシがようわかっておる! 今すぐに無益な戦いはやめ、相互理解のもと、新たな世を作っていこうではないか!」



しかしことは簡単には収まらなかった。

やはりと言っていいものか、振り上げた拳を静かに降ろすつもりは無縁には毛頭なかったのだ。

とうとう孤独となった無縁は毅然(きぜん)とした面持ちで、根底にある深い苦しみと憎しみの弾倉(だんそう)を拳銃に装填するかのように、静かに、そして力強く答えた。


「修羅の道は退けぬ道ぞ!」


そう言って黒龍・無縁は、その溜め込んだ強大な力を開放しつつ、全てのものを飲み込むが如き勢いで天空に躍り出た。


「どうやらすんなり行きそうにないわよ、まこと!」

「えぇ! 栞菜、姫ちゃん! 気をつけて! 四季彩さんも!」


まことの指示に栞菜も姫子も四季彩も戦闘態勢をとり、茜はそれでも説得を試みようとする咲良を制止した。


「結局、無縁様の心は動かすことが出来なかった……ということになりますが如何いたします?」


柔らかい顔から厳しい表情に変わった煌は次の行動に移るかどうか巌鉄斉に委ねた。


「ここまで来てもまだ我を張るか……」

「巌鉄様、時間がありません! 御決断を!」


無念極まりない苦渋の決断を迫られた巌鉄斉は、今にも全てを飲み込む勢いの無縁とブラックホールを交互に見ると立ち上がった。


「もはや(おもんぱか)る必要性なし! 煌、封印の儀を執り行う」

「はっ!」



龍神らは煌を見ると兼ねてからの予定通りの行動を開始する。

どこぞの軍隊の士官のような返事をした煌は影虎を除いた龍神各人に目配せし、言った。


各神(かくじん)、展開!」

『承知!!!!』


龍神は光の速さで散らばって行った。



「な、なんだぁ? いきなり龍神達が消えたぞ? 爺さん、これはいったい……」


問い掛ける軍司を見ようともしない巌鉄斉は、どこかに隠れていよと指図すると、もはや何人たりとも話し掛けることならぬといった激しい顔で中断していた封印の儀を開始ていくのであった。



「ばかものがっ」



次回 終23、結界再稼働! 譲れぬものは譲れぬものなり


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