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 終21、大激論! 酸いも甘いも己が道を通した先には後悔はないってこどぞよ

「あれあれぇ~!? なんかみんなカッコ可愛くなってない!?」


 無事に煌と四季彩と共に戻って来た咲良は、4人の服装が豪華で煌びやかになっていることにまずいちゃもんをつけた。

 それぞれは今、天使となり、属性龍の力を得た証しに体の一部に龍の鱗を付けていた。



「よかった、四季彩さんが無事で」

「そうね。なんか前よりもパワーアップしたみたいな??」

「栞菜に同感! 雰囲気が変わってなお一層清らかさを増したわ」

「姫子もそう思います! みんな無事に帰ってきて良かったです!」


 感動の再会をよそに、巌鉄斉と目配せした煌は巫女となった四季彩にも同様のことを開始。

 そして黒龍・無縁に睨みを利かす必要はなくなったと言わんばかりに、指を咥える咲良を巌鉄斉は景虎と引き合わせた。


「それにしても物凄い力が湧いてくるわ!」

「そうですね。これも龍神様の御加護でしょうか!?」

「まさにその通りね! 今なら無縁をやっつけることも出来そうな気がするわよ」


 それぞれが魅惑の装いで空に居並ぶ中、まことは冷静に言った。


「違うわ。無縁を倒すことが私達の本当の使命じゃない」

「なんでよ。あんな無茶振りをされてんのよ!?」

「どういうことですか? まことさん!」


 姫子は茜と首を傾げ問いながらも、何となく分かるような気がしていた。それは茜も、そして突っ込んだ栞菜も同様であったか。


「私達は神・人、そして魔の()()()をする立場だと思うの」

「交渉人!?」

「ネゴシエーター?!」

「交? 猫!? 姫子に分かるように言って下さいよぉ」


 むくれたぶりっ子天使に語りかけるように栞菜が久々のネオうんちくを発動し始めた。堕天使ネオ栞菜とでも言おうか。



「あの無縁って龍神は神族のやり方が気に入らないから神魔転覆(しんまてんぷく)を企てたわけでしょ? それはとどのつまり魔族の理想を果たすため。神族でありながら魔族寄りの考えなのよあの無縁て人は。――――そこで私らの出番てわけ! 神様も悪魔も、そして人間も引っくるめて平等な世に作り変えることが出来れば、あの無縁て人もこれ以上の無茶振りをする必要がなくなるってわけ!」



 薄く霞みゆく月下で堕天使ネオ栞菜は人差し指を突き上げて講釈をたれた。


「ですがそんなことが出来るんでしょうか……」


 普通の人間ならばそう感じるに決まっている。


 神様はどうしても神聖なものとして奉られ敬われてきたし、悪魔や妖怪は異形であり、悪さをする象徴として長年信じられてきた。

 だが思い返せばそんな根拠は何もないことに彼女らは気付いたのだ。


「だからぁそこを何とかするのが私ら鍛冶ガールの役目ってわけよ! そうでしょ!? まこと!」


 難しい顔をしつつも首を縦に振ったまことは、軽やかな羽衣をなびかせながら黙りを決め込んでいる茜にどう思うかと訊ねてみた。

 茜は打倒を誓いこれまで冒険をしてきたことを思い出しつつも、誰も傷付かない選択こそが理想だと言わんばかりにその美しい容姿を弾ませた。


「やろう! 絶対何か方法があるよ!」

「ですがどうやって…………」


 姫子が両の手を合わせてうつ向いた時、栞菜は閃いたようにフォルムチェンジ以降、どういう訳か姿を消したメガネをチャキっと上げる仕草をして千恵を探した。


「そういえばお千恵さんは妖怪と親しそうにしていたわ! 不思議に思ってたのよね!」

「!? それなら天ちゃんもしょっちゅうそこら辺にいる妖怪とか小悪魔みたいなのを捕まえては一緒に遊んでいたっけ……」

「言われてみれば天狗さんも仲良さげに会話をしていたわ」

「なるほど、そういうことなんですね! でしたら白夜も地元の神族はもちろん、妖怪から悪魔達とも調和を取りながら上手く土地を納めていました!」



 月下の4人はそれぞれ見合うと素早く頷き合い、自身のパートナーのところへ急行。

 いわゆる善玉の悪魔・妖怪との中立を願った。

 神族→神族と親交のある妖怪・悪魔→その魔族から直接に反旗を翻した魔族へと交渉を繋いでいくといったところか。



「考えも及びませんでしたよ」

「まったくだわ。人間の特に若者の発想とは凄いものね」


 白夜と千恵は感心すると、懇意にしている物の怪の類いをテレパシーを使って呼び集めだした。

 都合のよいことに今現在は結界は発動していなかったことも相まって。


「よしよし、まことの頼みであればやらんわけにはいかんな。これ! 鴉ども! お前らの出番じゃ! 早う集まれ!」


 天狗はそこここの雑林に隠れて動向を監視していた鴉達を呼び集めると、心ある魔族に布令を出して集まるようにと指示を出した。


「けっ! なんで俺達が!」


 はじめこそ難色を示した鴉達であったが、その口調とは裏腹に他の鳥族にまで広め、天狗の要請に協力を惜しまなかった。

 それは天狗を含め神族と鍛冶ガール達が必至に世界を守らんと頑張る姿を見ていたからに他ならない。


 どこにいたのか、集まって来た相当な数の善玉魔族らは五柱神の要望に答えるように無縁に協力する魔族らと対峙、無縁の理想に共鳴していた者達は混乱しつつも同族とあってか耳を傾け始める。


 それはまるで臨時国会が開かれたかのような激しい討論合戦となり、凄まじい野次が飛んだかと思うと一触即発の大乱闘に発展しかねないほどの激論が展開された。



 しかし何も魔族は神族全てを憎んでいるわけではなく、人間に対してもそこまでの怨嗟(えんさ)を持って挑んでいるわけでもなかった。

 ただただ無縁が言うところの()()に我慢がならないと言った風だ。


 そのうち何故か議長のようにその大論争をまとめていた天狗が大勢の妖怪やらの前に出て言った。



「代表者を選出するのじゃ! あとは代表者会議にて魔族のこれからの行く末を決めるというのはどうじゃ!? えぇ! 何とか言わっしゃい!!」


 またぞろ混迷を極めた魔族は急ぎ仲間の中からこれだと思う代表者を決めていき、数十鬼の妖怪や悪魔が名乗りを上げ前に出てきた。


 それは不思議な光景であった。


 今にも世界を分断し転覆を計っていた悪玉の魔族ですら、主張の場を貰ったことに喜びを感じ、知的代表者をして話し合いで事を決しようとしていたからに他ならない。


「ワシら五柱神は平等に双方の言い分を考慮するつもりじゃ! なかんずく真羅八龍神(しんらはちりゅうじん)の名の元に!!」


 勝手に天秤にされた八龍神は唖然として本国会を見守っていた。


「よろしんですか? 姉様」

「ウフ。素晴らしいことじゃなくて?」


 (ひらめき)と姉である(きらめき)はそう話し、


「なんだぁ!? 悪魔が話し合いだぁ!? 見たことも聞いたこともねぇぜ」


「ですが無益な争いは避けられるし良いことだと一帆は考えます! 海鏡はどう思う?」

「……別に。……いいと思う……」


 一帆と海鏡の意見を聞いた伴峰は頭をポリポリ掻きながらも、


「まぁな」


 と、短く同意した。


 思惑が見事的中した鍛冶ガールの面々は新たに龍神の加護を受けた四季彩を迎え、最後にリーダー咲良を待っている時であった。


 戦女神のように豪快な戦装束に身を包んだ四季彩は、人の営みと同じように悪魔にも家族と仲間がいて、自分達の生きる場所を必至で(つむ)いでいることを知り、急な親近感を覚えたのだった。



「みんな一緒なのですね!」



 次回 終22、議決! 携えてそうらえ


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