終20、令和の人々と城と
「えぇ中継が突然途絶えてから既に数時間が経っております。ニュースJAPONの新田です。そんな状況でも総力取材を続けてまいります!! では三条市の今井日さぁん!」
「はい! こちらはあの5つの柱へと気を送るべく市民全体を指揮しておられた方々にインタビューしていきたいと思います。まずは鍛冶屋さん!」
「ウム」
「奇跡とも言える美少女達と見たこともない大蛇ですとか天狗、あるいはペガサスから狐、はたまた巨大な龍についてどうお考えですか?」
「見てわからぬか! たわけ! あれらは必死に世界を守らんと闘っておる!」
「は、はぁ……それはなんとなく理解は出来ております! しかし我々一人ひとりに鮮明に見えていた彼女らの奮闘ぶりが、真っ黒な龍が地中から出現したことにより、劣勢に立たされた。といった風に見えましたが?」
「左様。横文字で言うところのアクシデントじゃ」
「は、はぁ。それまで集まった市民が協力し……いいえ、私もですが、おそらくは日本列島の国民全員が固唾を飲みながらも、手をかざし思いを届けておりました!」
「ウム。感謝のしようがない!」
「必至に応援していたのは日本だけではありません! 世界各国も同調するかのように手をかざし、懸命に気と呼ばれる不思議な光を届けておりました!」
「ウム。感謝のしようがない!」
「ですが突然美少女達の活躍も確認することができなくなり、何の音沙汰もなく時間が過ぎ行くこの現状をどうとらえますか?」
「あの黒龍が現れ、事態があらぬ方向へ進んでおるのやもしれぬ」
「今井日さん? 私からも質問いいですかぁ?」
「ちゃんと的を得た質問下さいますか?」
「なんですってぇ? キャスター歴ウン十年ですよ? わたしは!」
「……ではどうぞ! 新田さん」
「はい、鍛冶屋さぁん! 我々はあの空を飛ぶ不思議な少女達を目の当たりにして、危急存亡の三条のために拳を振り上げたわけですが、こうも状況を把握出来ない事態が続くと破滅への序曲が進んでいるのかと不安になるのですが、いかがお考えでしょうか?」
(クソキャスターの新田もたまにはいい質問するじゃない)
今井日は鍛冶屋に質問する機会を奪われ、内心ムカッときていたが至極真っ当な質問を投げ掛けたボンクラキャスターに舌打ちした。
「見てお分かりの通り、破滅は近付いておる。のかもしれん……天文の時代で死闘が繰り広げられ、黒龍が出現した地に、この世のものとは思えないブラックホールが生まれた。鍛冶ガール達が万が一失敗したなら、現代も天文もない! この世は消滅するだろう」
「な、なんですってぇ!? ご覧の皆さん、お聞きの通りです……た、大変なことになりました! 鍛冶屋さん、最後に1つ、我々はどうしたらよいのでしょうか!?」
「ウム。もう一度、何らかの動きがあるはずじゃ! それまで待つしか今はない」
断言するようにそう言った巌鉄斉は、緊急事態の際の手はず通り、各組から代表者が集まる嵐川橋へと戻って行った。
「今言った通りじゃ、必ずもう一度あの娘らは動きを見せてくれるはずじゃ。その時が来るまで待つしかあるまいて」
集まったのは萬屋すーさん、お富、柊一、権爺と白石委員長だった。
それぞれは夜が明け始めた空を見上げながら鍛冶ガールらの安否と世界がどこへ向かってしまうのか心配と不安で一杯だった。
「大丈夫じゃよ! 越後の国の鍛冶ガールはやってくれるさ」
権爺の言葉は一人ひとりに言葉を繋ぐ。
「そうよね。咲良ちゃんと茜ちゃんは強い子だものね」
「そうですよお富さん! 栞菜ちゃんや姫子ちゃんも同じくですよ」
「柊一くんの意見に賛成よ! まことちゃんもきっと世界を救ってくれるわ……ねぇ繭子…………」
白石委員長は陣痛が始まり緊急入院した病院の方角を見詰めながら言った。
そして最後にすーさんが白み始めた信濃川の先にそびえ立つ三条城を眺めながら口を開く。
「その通りです! 破滅に向かうとするならば、わざわざ三条城が姿を現すはずがない! この城は三条の危機を救い、この地のシンボルとしてこれからもこの街を守り続けるのです!」
一同は城を見ると自然とそんな気分になってくるのを不思議に思った。そうなのではないかと感じてしまう何かが三条城にはあるのだと。
そしてそれは紛れもない事実であったのだが。
月はもはやうっすらとしか見えず、また新しい朝を向かえようとしていた。
次回 終21、総力戦! 酸いも甘いも己が道を通した先には後悔はないってことぞよ




