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 終17、6番目の巫女、その名は四季彩神無!

「今更ですがお久しぶりです、無縁様。長い年月と時空を経て八龍が揃いました。この意味がお分かりですよね?」


 突如現れた5人の龍神、その中からリーダーらしき美女が無縁に始めて声をかけた時、鍛冶ガールと五柱神の回復に全力を注いでいた他の者たちが口々に叫びあった。


「回復終了です!」

()さんと()さんは特に酷く消耗していましたわ」

「この娘達はまだ、ましな方だったぜ!」

「…………完了」



 全快したまことらは聞きたいことは山程あれど黙って静観していた。何故ならば(きらめき)と呼ばれた美女と無縁との会話が終わってはいなかったからだ。



「フンッ。よくもまぁ雁首(がんくび)揃えたものだな。だがお前らが集ったとはいえ、最早遅い!」


 吐き捨てるように無縁はそう言ったが、煌は微笑したまま言葉を返した。


「あら、そうでしょうか? 私には貴方が()()()()としていたようにしか思えませんわ」


 煌はそう囁くと他の4人に目配せし、かねてからの行程表をこなしていくように手配をした。

 それはそれぞれが鍛冶ガールへと力を分け与えるような仕草であった。



 伴峰(ばんほう)は茜に、海鏡(かいきょう)は姫子に、(ひらめき)は栞菜、そして一帆(かずほ)はまことへと。


「なに!? 力が(みなぎ)ってくるわ!」

「そうですね! 勇気百倍ですっ」

「あ、ありがとうございます!」

「あなた方はいったい?」


 まことの質問に対して一帆が笑って答える。


「私達は巌鉄様、それに無縁が束ねていた神龍族の要、真羅八龍神(しんらはちりゅうじん)です!」


 老介護と育児から解放された軍司は神々しい龍神達を見回しながら、


「へぇ~この人達が……だけど気にいらねぇ!」


 何故か怒り始めた軍司を疑問符を頭に植え付けたような顔で栞菜が訊ねる。


「何が気にいらないのよ? チャンバラ」

「だってよぉ……他の3人は可愛子ちゃんだったり、綺麗なお姉さんなのになんで茜の担当だけ若い()()なんだよ!」


 プンプン怒る軍司の視線の先には、お礼を言って(ほの)かに頬を赤らめる茜がいて、伴峰も満更でもなさそうな雰囲気を醸し出していた。 



「軍司さん、好敵手の出現ですね」


 こちらも何故か三角関係を提言した姫子が両手で祈りを捧げるポーズをして悩ましい顔を軍司に向けた。


「な、なんだよぉ! 姫子ちゃん意外と意地悪だな!」

「姫ちゃんこそそんな余裕こいてていいわけ? あれを見なさいよ」


 今度は栞菜がニタニタ笑いながら姫子を導くように指した先には、全快した白夜と千恵が仲良さげに互いの無事を喜びあっていた。それはさながら大人の男女の落ち着いた囁き合いに見えたか。

 軍司と姫子はお互いに背を預けると国会議事堂前で辛辣な抗議デモでも行っているリーダーのような形相を携えてのっしのっしと想い人へと向かっていくのだ。



 そんな一連のやり取りを仕切り直すようにコホンと一つ咳払いをした煌は、


「無縁様もそうは待ってはくれないようですわ。早速次の行程に移行! 四人は属性の子達に()()()()を。私はあの娘の深層心理に直接行って連れ帰ります」


 それを聞いた咲良は給食のプリンのおかわりに名を上げる食いしん坊のような体勢で煌に駆け寄って言う。


「だったらあたしも連れて行って!? どうしても連れ戻したいの……友達だから!」


 おそらく己れ一人でもそれは可能であっただろうが、咲良が胸につける龍の鱗に一瞥(いちべつ)をくれてから何を思ったか、煌は咲良の同行を許可した。


「貴方はもう()()()()()()()ようですので特別に許可します。()()を連れ戻しに行きますよ」


 その言葉に全員が反応した。


『巫女?!』


「えぇ。あなた方は選ばれた神聖な存在。かくいう四季彩神無もその一人なのです。彼女の力は大地の力。すなわち属性は私と同じです」


『えぇーーーーーっ!?』


 鍛冶ガール一同仲良く同時に驚き、暗黒の闘気を宿したままの四季彩を見た。


「つまり、無縁様は()()()選ばれし巫女を探しだして自身の配下としていたのです。まるで負ける為の口実にするために」


 今度は全員が空に浮かぶ無縁を見たが、無縁は何も言わなかった。


(無縁……あやつ…………)


 巌鉄斉は岩場に上体を預けながら無縁を見詰め続けていた。


「さぁ急いで行きますよ、一ノ門咲良。他の者は予定通りに!」


 煌はそう言い残すと咲良を伴って四季彩の胸をこじ開けるような仕草を取り、深層空間へと旅立って行った。



「フンッ、たわけどもがっ。我が指を咥えて待っていると思うか? 煌が帰って来る前に全員始末してくれよう」


 全霊力を攻撃に一点集中し始めた無縁の前に全快した五柱神が立ちはだかり、代表して影虎が残された龍神に命令口調で叫んだ。


「何をするのか知らぬが、早くせぃ! 我等が奴を押さえているうちに!」


 龍神達は突然の命令に不満続出であった。 


「煌様ならともかく、なんであんなヤツに指示されなきゃならないのよ」


 プンスカした一帆は同年代っぽい海鏡に同意を求めたが、


「…………」


 無口の海鏡は応答しなかった。


「チッ、なんだてめぇ! 一番の()()が偉そうにっ!」

「やかましぃ! さっさとせいと言ったのだ。それでも龍神の一員かっ」

「な、なんだとぉ? ぶっ殺す!」


「おやおやなんだか二人は犬猿の仲のようですわね」


 穏やかに微笑む閃に巌鉄斉が頷くと、


「やめんかっ! 今は揉めている時にあらず! 伴峰も煌の指示通りにやらぬか! 一帆も海鏡も同様じゃ」


 やはり威厳がある長老巌鉄斉の一喝にそれぞれが動き出した。

 が、軍司は殺意を抱いたスナイパーのような鋭い目付きで伴峰を見ていた。


「けっ! 影虎さんにぶっ殺してもらえばよかったのによぉ……」

「……そこのガキ! 聞こえてんだよ!」

「あっ、へへへ冗談すよ! アハアハハハハ……」



 深い溜め息をついた茜と、咲良を除く鍛冶ガールらは今、属性の龍神と対面し、交わるように互いの力を混ぜ合わせて行くのであった。



 次回 終18、お帰り神ちゃん! 黄金の地に降り立った美少女



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